空中楼閣組織・秘封活動録【一冊目】

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「んで、灯色さんの心を覗きながら疑似体験したんだけど、そのとき見えた世界がモノクロでした。流石にあんときはびっくりしたな。古い映像を見た時みたいに白黒で」

「それで、その仮説は？」

「結論から言わせてもらうと、灯色さんの目は、`魅力を感じたモノ以外無彩色になる`。そう出来ている」


一呼吸おいて、ふうりさんは言った。自分で答えを催促したけど、まったく意味がわからない。


「み、魅力？え…え？」

「つまり今の灯色さんは、ほとんどのモノに対して無関心、もしくは嫌いってことになるよね」

「嫌い！？」

「ハイ話進めまーす」


聞いちゃいない。


「灯色さんが学校でどんなことに巻き込まれたかは知らないけど、なんらかの拍子に世界のいろいろに興味を示さなくなっちゃったんだね。昔は常人と同じ景色に見えていたのは、まあ好奇心旺盛だったからとかじゃない？」

「意味がわかんないって！！」


案外、核心に近いところは捉えているけど。

はあ、とふうりさんが一度溜息を吐く。何か怒らせてしまったのではと、背筋がぴゃっと伸びた。


「灯色さん、私達のことどんな風に見える？」

「どう…？」

「何色に見える？」


別に怒ってるわけではなかったけど、圧を感じるくらいきっぱり言われて、体がちょっと縮んだ気がした。

一度、ふうりさんをまじまじと見つめてみる。凝らすように目を細めてみても、特に違和感はない。むしろ、「色を見ろっつってんの」と指摘される。

次はすいれんさん。色、と言われたので、日本人にしては奇抜だけど、透き通って綺麗な空の髪を見てみる。視線に気づいたすいれんさんが、こちらに向かって笑いかけ、手をピースの形にした。


「何色？」

「水色と、黄色です」

「うん。じゃあ次、それも意識しながら全体を眺めてみて」

「何その難しい注文」

「いいから」

「はい」


ふうりさんは強い。すごく。

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