BEAUTIFUL KILLER

secret ページ22

隣で眠る二人は僕に

一体どんな感情を抱いてるのだろうか。




僕が本当に男だと思ってる?

何もかも真実だと思ってる?




もし、僕の心の声が君に聞こえたなら

僕はこんなに辛くなかった?







今日も夜中に起きて、一人布団を抜け出した。

リビングの窓からは、大きな川が見える。

橋も、小さく見える灯りも見える。

人が、生きているという証。







静かに僕がそれらを眺めていると

扉が開く音と、僕に近付く足音が聞こえた。







「綺麗だね。ホンビン。」






HB「...どうして分かった?」






振り返らずに、話しかけた僕。

気になるのも当然だろう。






ｺﾝｺﾝ...と、窓ガラスを小突いた。







「此処に映ってる。」






HB「...超能力かと思った。」






そう言って、ホンビンも僕の隣に並んだ。






「ホンビンは、いつも僕についてくる。」





僕がいなくなると

決まってついてくるのは、君だ。






HB「俺もどうしてか、分からない。なんか... 誘われて?」





そう言って、君はまた笑った。

少し長い君の髪を、手櫛で梳く。

フワフワとして、何処か可愛らしくて愛しい。






「なんか、犬みたいだね。」





僕がそう言うと





HB「犬好きなの?」





「僕は猫派かな。」





HB「何だよ笑」





そんなことで、二人笑った。

こんな時間が永遠に、続けばいいのに。

過去も残った記憶も傷も全て消して

やり直せたらいいのに。僕を、もう一度。

いっそ、生まれ変われたらいいのに。

こんな世界なら、もう...





HB「眠れないの?」





君が、僕の瞳を見て聞いた。

僕は静かに、頷いた。







HB「じゃあ、行こう。...皆には、内緒だよ?」






そう言って、僕の手を掴んだ君。

誰にも見つからないように、音を立てないように

僕らはそっと、宿舎を抜け出した。






街の人達は、まだ僕らを知らない。

多分、顔を隠さず歩ける最後の一時。






僕の手を掴む君の手が汗ばんでる。

君も、生きてるから。








HB「綺麗でしょ? Aがいつも見てた場所。」
　






いつもは、宿舎から見下ろすだけだった橋。

夜に浮かぶその橋は

部屋から見るよりも、ずっとずっと大きかった。








僕の歩幅に合わせる君。

暫く歩いてアイスを買い、二人で食べながら帰った。







そっと扉を開け、また布団に入った。







これは僕達二人だけの、秘密。

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