17 ページ17
「俺の、幸せ勝手に決めんといてや」
少し強くそう言うと、流星の体はピクリと跳ねて。
力を少し弱めて向き合うと、戸惑った様に目が揺れていて。
「確かに、結婚して子供がおったら幸せやと思う」
「……やったら、」
「でも、俺にとってそれは幸せやない」
目を合わせる。あの時、流星がやってくれた様に。
ちゃんと俺の想いが届く様に。
「流星がおらな俺は、幸せって思えへん」
「望……」
「たくさん辛い思いするかも知れへんけど…絶対守るから。俺に…流星を守らせて下さい。よろしくお願いします。」
そう頭を下げて言うと、流星が俺の手をそっと取って、ゆっくりと握って。
顔を上げるとそこには、綺麗に微笑んだ愛しい人。
「何か…プロポーズみたい」
「…そうやもん」
「ふふ、…嬉しい、ありがと…」
よろしくお願いします、と言ってくれた流星の手を握り返す。思わず泣きそうになってしまうけれど我慢する。
「ありがとう…」
「……また一緒におれるんやね」
「おん！」
嬉しそうに笑う流星が可愛くて堪らなくて、軽くキスを落とす。
驚いた後に、笑ってキスをし返してくれた。
でも、合わさった唇と、繋いだ手の体温に何だか違和感を感じて。
「流星…もしかして体調悪い？」
「…なんかさっきもそう言われてんけど…」
「ちょっとごめんな？」
そう言って額をくっつけて熱を測ってみると、案の定、結構熱くて。
「熱あるで？これ、」
「……ってか望…」
「ん？」
「今の…反則やろ……」
熱上がるわアホぉ、と照れた流星が死ぬほど可愛くて、そっちの方が反則やアホぉ、と返したくなったけど、今はそれどころではない。
「熱も若干あるし、ゆっくり休んだ方がええね」
「ん…」
「よっと」
「わっ…！」
流星を抱き上げて、寝室へと運ぶ。
ベッドに下ろして布団を掛けると、流星は不安そうな顔してこっちを見ていた。
「…どうしたん？寝えへんの？」
「……望…」
「なに？」
ぎゅっ、と袖を掴まれて、それだけでもやばかったのに、更にとんでもない爆弾を投下してきた。
「……ちゃんと…おる？」
「へ？」
「起きたら…おらんのは嫌や…」
今にも泣きそうな顔でそんな事言われて、離れられる訳が無い。
出て行くつもりなんて無いけれど。
「ちゃんとおるよ。大丈夫やから寝てな？」
「おん…おやすみ…」
そう言ってすぐ眠りに入った流星の頭を撫で、看病に専念した。
next.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 249人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：きー | 作成日時：2017年7月10日 23時
