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望と別れてから1年ほど経った頃。
忘れる様にがむしゃらに働いていたら、しげと神ちゃんに心配され、そして怒られていた。


「なぁ…ちょっと無理しすぎとちゃう?」
「全然そんな事ないで、大丈夫……」
「流星の大丈夫はあてにならん!」


もう限界や!!それ俺がやるから早退して!!と言った神ちゃんに資料を取られ。
ほら!立って!!と無理矢理しげに席から立たされた。


「ずっと顔色悪いねん!帰って寝て!」
「……おん、」
「ほら!行った行った!!」

藤井、具合悪いんで早退します!と声を掛けてくれ、上司に頭を下げて、会社を出た。


「…俺、顔色悪かったんや…」

何も考えずに働いていたから、自分が体調崩していた事にも気付かなかったなんて。
情けないなぁ、とぼんやりする頭で思った。


家に着いて着替えて、ベッドに寝転がると、すぐ寝ていて。
目が覚めた時には夕方で、何となくテレビを付けたらそこに写っていたのは。


「──望…」


綺麗なスーツを着て、姿勢良く立ってる望の姿で。
最後に会ったあの時よりも大人っぽくなっていた。

目が離せなくて、画面を見ていたら突然チャイムがなって。
はーい、と返事をしてドアを開ける。


そこに、立っていたのは──




「──久しぶり……流星」


さっきまで、画面の中にいた…望やった。

久々に目の前で見た望の姿に泣きそうになるのを我慢して、手を伸ばそうとしてハッとする。

駄目や、ここで触れてしまったら。



「な、んで…来たん?」
「流星の事、迎えに来てん」

迎えに?どこに?
意味が分からずにぼんやりとしていると、腕を掴まれて引かれて。
気付いたら望の腕の中にいた。


「望っ、離し……」
「俺、ずっと流星の事好き」
「……!!」
「忘れる気も、もう離す気も無いねん」

ぎゅっと力を込められてきつく抱き締められる。
あの時よりも、逞しくなった身体に自然と熱が上がる。
でも、でも──


「……一緒におれんよ」
「流星?」

ぐいっと胸を押すと離れる身体。
顔を見ると寂しそうな顔。胸が苦しくなるけれど。



「……望は、俺と居ったらアカン」
「なんで、そう思うん?」
「…ちゃんと結婚して欲しいねん…」

それが望にとって1番幸せやから、と言った瞬間、引き寄せられて再び抱きしめられた。
抵抗しようとしても出来ないくらいにきつく力を込められて。



「俺の、幸せ勝手に決めんといてや」

少し、怒った声でそう言った。



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作者名:きー | 作成日時:2017年7月10日 23時

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