恋を拾う。 (ページ12)

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望が出ていってから涙が止まらなくて。
ふと気付いたら、仕事に行かなければ行けない時間だったけれど、行ける顔では無かったから休むことにした。

しげと神ちゃんにも連絡して、もう一度寝ようとベッドに入ろうとしたけれど、望の匂いがして。
思い出して泣きそうになるから、ソファーに寝転んだ。

少し前の、１人の生活に戻るだけ。
ただそれだけだ。

自分にそう言い聞かせて、目を瞑ると気付いたら寝てしまっていた。

ふと目を開けて携帯を見ると、12時を過ぎていて。
携帯が鳴っているのに気付いて画面を見ると、神ちゃんからの電話で。
出ると物凄い勢いで話し始めた。

『流星？！！大丈夫なん？』
「ん。大丈夫やで」
『…無理、してるやろ』

今日、仕事終わったら流星んちお邪魔するから！と宣言された。
その勢いに押されて、おん、と頷いていた。

＊＊＊

「りゅーせー！！」
「はーい、ってしげもおるん？！」
「当たり前や！！」

神ちゃんがおるのに俺がおらん訳ないやん！と爽やかに笑うしげにつられて笑う。
部屋に向かい入れた瞬間、泣いてたやろ、と真剣な眼差しでそう聞いてきた神ちゃんに、嘘なんてつけなくてコクリと頷いた。

「最近流星、幸せそうやったやん」
「…」
「何があったん？」

言うのは少し戸惑ったけれど、望の事、付き合っていた事、家の事情も全部話した。
すると、神ちゃんは今にも泣き出してしまいそうな顔をしていて。

「…ほんまに好きやってんな、」
「……ん」
「どうにかしてやりたいけど…相手があの小瀧やからな…」

難しいかも知れへんな、としげは言った。
その言葉にとうとう泣き出してしまった神ちゃんの背中をしげは、そっと撫でた。

「……ええの」
「え…」
「辛いのは…今だけやから」

そう言って、頬を伝う涙に気付かない振りをした。

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