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黄side
家まで向かう車の中で、望はずっと泣いていて。
藤井さんの事を心底好きなのだと分かり、胸が痛くなる。
「なぁ望、藤井さん言ってたで」
「……?」
「望の事が好きやから、これ以上辛い思いさせたないって…」
***
『夜分遅くにすみません、藤井です、』
「いえ、どうされました?」
『明日…望の事迎えに来て下さい』
「え…?」
話す声は少しだけ、震えているように感じて気になった。
『これから先の未来、望にとって俺の存在はきっと障害になると思うんです』
「……藤井さん、」
『好きやから…もう、辛い思いはさせたない。俺の事で色々言われて、苦しむ所なんて見たくないから…』
と言葉に詰まりながらも、ゆっくりと話した。
きっと、決意して電話を掛けてきてくれたのだろうその想いに答えなければ失礼だ。
「分かりました」
『…ありがとうございます』
明日、お待ちしてますと言って藤井さんは電話を切った。
***
「大人やな、って思ったわ」
「流星…」
「藤井さんの気持ち、ちゃんと受け止めなアカンよ」
「ん…」
乱暴に頭を撫でると、やめろやぁ、と少し笑って。
その後はずっと外を眺めていた。
家に着くと母さんが走ってきて、望の事を抱き締めた。
心配したんやから!と少し怒って、ごめんなさいと素直に謝った望。
周りを見たけれど、父さんはいなかった。
「夜には帰ってくるから…」
「…ちゃんと話す、」
「そうしなさい」
とりあえずご飯食べましょ、と母さんは俺らの背中を押してリビングへと一緒に向かった。
next.
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作者名:きー | 作成日時:2017年7月10日 23時