検索窓
今日:11 hit、昨日:1 hit、合計:73,554 hit

11 ページ11

黄side


家まで向かう車の中で、望はずっと泣いていて。
藤井さんの事を心底好きなのだと分かり、胸が痛くなる。


「なぁ望、藤井さん言ってたで」
「……?」
「望の事が好きやから、これ以上辛い思いさせたないって…」


***

『夜分遅くにすみません、藤井です、』
「いえ、どうされました?」
『明日…望の事迎えに来て下さい』
「え…?」

話す声は少しだけ、震えているように感じて気になった。


『これから先の未来、望にとって俺の存在はきっと障害になると思うんです』
「……藤井さん、」
『好きやから…もう、辛い思いはさせたない。俺の事で色々言われて、苦しむ所なんて見たくないから…』


と言葉に詰まりながらも、ゆっくりと話した。
きっと、決意して電話を掛けてきてくれたのだろうその想いに答えなければ失礼だ。


「分かりました」
『…ありがとうございます』

明日、お待ちしてますと言って藤井さんは電話を切った。


***

「大人やな、って思ったわ」
「流星…」
「藤井さんの気持ち、ちゃんと受け止めなアカンよ」
「ん…」


乱暴に頭を撫でると、やめろやぁ、と少し笑って。
その後はずっと外を眺めていた。

家に着くと母さんが走ってきて、望の事を抱き締めた。
心配したんやから!と少し怒って、ごめんなさいと素直に謝った望。
周りを見たけれど、父さんはいなかった。


「夜には帰ってくるから…」
「…ちゃんと話す、」
「そうしなさい」

とりあえずご飯食べましょ、と母さんは俺らの背中を押してリビングへと一緒に向かった。



next.

12→←10



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (91 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
249人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:きー | 作成日時:2017年7月10日 23時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。