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「……え、誰?」

金曜日の午後19時。
少しだけ残業をしたけれど、明日は休みだからのんびりしよう、と思って部屋に向かうと、ドアの前でうずくまっている男の人がおった。


「あの、大丈夫ですか…?」
「……ん、」
「もしかしてどっか怪我とかしてる…?」

肩を叩いて起こそうとしても全然起きなくて。
心配になって、とりあえず中に運んだ。
ソファーの上で寝かせていると、いつの間にか目を覚ましていて。


「……すみません、」
「あ、起きた?お風呂、どうぞ?」

ボサボサの髪と汚れた服が酷すぎて、お風呂に入る事を促すと、コクリと頷いた。
そして、数十分後に出てきた姿を見て、一瞬固まってしまった。


「…ありがとうございます、」
「ちょ…え、」
「……?」
「自分格好良すぎやない…?」


さっきの姿とは打って変わって、背が高くて、スラリとしたスタイルの良いイケメンが、そこには立っていた。

「そう…ですかね?」
「おん…」
「俺は、あなたの方が綺麗な顔してると思いますよ」


じぃ、とこんな綺麗な顔に見つめられて、そんな事言われて照れない奴がおったら出てきて欲しい。
一気に顔が赤くなるのを感じて、とっさに目を逸らした。


「俺、望って言います」
「望……?」
「はい。あなたは?」
「…流星、」

名前を言うと、手を掴まれて流星さん、と真剣な顔をして、言った言葉は。



──俺の事、拾ってくれませんか?


聞こえたのは、かなりの衝撃的な言葉だったのに、気付いたら頷いている自分がいて。
ありがとうございます、と綺麗に笑った美形な彼との生活が突然、始まった。



next.

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作者名:きー | 作成日時:2017年7月10日 23時

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