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こっそりと、一ノ瀬屋が見えるところに隠れて立つ。丁度出てきたお客さんは、羽織を手で摘んでは満足そうな顔をして出て行った。
店は変わらずに繁盛しているようで、それに少し寂しさを感じてしまう。
『中は見なくていいのか?』
『で、でも……』
叔父と顔を合わせるのは気が引ける。晋助さんと結び会わせてくれたことには感謝しているが、私は彼に売られたのだ。
その事実は、やはり燻ったまま私の中に消えずに残っていた。
しかし晋助さんは私の前を行き、店に向かって歩き始めてしまう。その後ろ姿を慌てて追いかけるが、彼は店の裏口へと回る。
『し、晋助さん!!』
彼の袖を掴んで名前を呼ぶも、「静かにしろ」と言いたげに人差し指を唇の前で立てた。
私は思わず口を噤み、小声で「何してるんですか」と注意する。しかし彼は聞く耳を持ってくれず、私が何か行動を起こすのを待っているみたいだ。
小さく息を吐き、裏口にある鉢植えを持ち上げた。そこには鍵が置いてあり、この存在に叔父は気付いていないみたいである。
いざ鍵を開けようとするが、もしそこに誰かいたら……。そんな不安が胸をよぎっては手が固まったように動かなくなってしまう。
だが晋助さんは「誰もいねェみたいだぞ」と言うのだ。
人の気配を察知できるのか、と感心していれば「早くしろ」と急かされる。音を立てないように鍵穴に差し込み、ゆっくりと慎重に回す。
自分が泥棒になった気がするも、ここは元はと言えば私の家だと腹をくくった。そうして扉を細く開け、中を見回して人がいないことを確認していく。
『……A?』
しかし、私の名前が聞こえた瞬間、肩がビクンと大きく跳ねた。
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まい - 999本の薔薇は「何度生まれ変わってもあなたを愛す」ですね。感動しました。 (2020年5月12日 20時) (レス) id: 7154107f34 (このIDを非表示/違反報告)
ユウ - 完結おめでとうございます。まさか、「おかえり、愛おしい人よ」シリーズと繋がっていたのだとは知りませんでした。そして感動し、鳥肌が立ちました。素晴らしい作品です! (2019年11月12日 18時) (レス) id: 7837a845b7 (このIDを非表示/違反報告)
莉緒奈(プロフ) - すごい感動しました!涙が止まらなかったです!本当におもしろくて、最高でした! (2019年2月9日 22時) (レス) id: 128bb1ac1a (このIDを非表示/違反報告)
ハル(6/17)(プロフ) - モモさん» 閲覧とコメントをどうもありがとうございます^^ 沖田もいいキャラですけど高杉も捨てがたいですよね〜〜〜!! そう言ってもらえてとても嬉しいです!! ありがとうございました( ´ ∀`) (2018年4月27日 14時) (レス) id: 0297264441 (このIDを非表示/違反報告)
モモ - 今回の作品もとても面白かったです!思わず涙ぐんでしまいました(笑)サドリーマンも好きだけど、特に高杉さんの作品が大好きです!私もどちらかと言うと高杉好きなのでwとても素晴らしい作品をありがとうございました!!! (2018年3月18日 20時) (レス) id: a467930736 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ハル | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/harumemory
作成日時:2017年8月24日 11時