Blue ページ9
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[また、ごはんに行こう]
あの日夜遅く、ジェヒョンからきたメッセージ。
たとえそれがこういう関係の常套句だとしても。いやきっとそうなんだろうけど。何もかもが完璧すぎて目眩のする人。
寝ても醒めても考えるのは、頬に浮かんだ笑窪、心地の良い低い声、私を覗き込む綺麗な瞳…全て彼のことだけだった。
だから、本当に嫌だったのに。こうやって恋愛に思考を乗っ取られるのって、浅はかとさえ思っているのに。
私の中にいる冷静な自分が、ジェヒョンに焦がれている私を馬鹿にしたように冷笑する。
だけどもう、そんなのじゃ止まれないくらい、理屈も理由も飛び越えて、私の思考はジェヒョンに埋め尽くされていた。
｢今日、調子よくない？｣
突然そう言って、私の目の前の席に座ったのはテイル先生だった。テイル先生はレジデント3年目。歳は3つ上だけど、入職時期の近かった私たちは気のおけない関係として、仲良くさせてもらっている。
｢お疲れ様です｣
昼ごはん時の食堂は、混みあっていて喧騒に包まれている。
｢でさ、何かあったの｣
テイル先生は挨拶もそこそこに、ぐいっと私に顔を近づけた。
｢何もないです｣
そんなわかりやすいかっただろうか、仕事中は別にふつうに振舞っていたつもりだったのに。
｢えー、なんだそっか。ざんねん｣
本当に心底残念そうにそう言って、先生はお肉をひとつ口に放り込んだ。
｢これは俺の勘なんだけど、ついにAにも春がきたかと思ったのに〜｣
｢余計なお世話です。先生こそどうなんですか？｣
｢ん〜？｣
物腰柔らかく、人当たりの良い先生は実を言うと院内でも人気だった。オマケに顔も良く、飲み会のカラオケで披露する歌がめちゃくちゃ上手。同期の何人かがテイル先生に好意を持っているという話も聞いた。
だけどテイル先生は、そういう話題につれないのだ。
｢ま、何か困ったことがあったら言って。俺、案外こういう時に頼れるんだよ｣
｢善処します｣
｢えー｣
その時テイル先生のPHSがなって、｢また今度｣というと、足早に先生は去っていく。
医者って大変だな、まだごはんちょっとしか食べれてなかったのに。
そういえばジェヒョンには何で返事をしようかな、私の思考はまたジェヒョンに乗っ取られていく。
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凛樹(プロフ) - 優。さん» 励みになるコメントありがとうございます。これからも頑張りますね⭐️ (3月14日 12時) (
レス) id: 166a2c7c26 (このIDを非表示/違反報告)
優。(プロフ) - ジェヒョンの魅力的なところが細やかに表現されていて、とても面白いです。特に主人公がジェヒョンに落ちてしまう流れが綺麗すぎました！ (3月3日 9時) (レス) @page8 id: 6fd716d240 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：凛樹 | 作成日時：2023年9月23日 2時
