Blue ページ8
.
楽しい時間はあっという間で、お開きにちょうどいい頃合いだった。
「送るよ」
ジェヒョンはそう言って、本当に自然に私の手を取って歩き出す。
多分、ジェヒョンからすれば私と手を繋ぐことなんて、ただの社交辞令みたいなものなんだろうけど。
私にとってはそうじゃなくて。
だから余計に自分とジェヒョンの間にある温度差にどうにかなりそうだった。
人を好きになるなんて、振り回されるだけ。
そう思っていたくせに、会って間もない彼にもう私の気持ちは振り回され始めている。
「かんがえごと？」
さっきから何も話さない私を変に思ったのか、ジェヒョンは立ち止まると、私と目線が会う位置までしゃがみ込んだ。
「酔った？顔、赤い」
顔が赤いのは酔ったせいじゃなくて、ジェヒョンの瞳があまりにも綺麗だったから。
なんて言えるはずもなく、私は小さく頷くのが精一杯だった。
「そっか。酔っちゃったか」
何故かジェヒョンは満足気に笑って言った。
こんなの、好きにならない方がおかしい。
お酒の力も借りて浮かれる私の脳内で、なけなしの理性が鳴り響いている。この人に落ちたらだめだと。
わかっているのに。
だめだと思えば思うほど、ジェヒョンは本当に沼のようなのだ。
優しく微笑む顔も、その表情に浮かぶ笑窪も、低くて心地よい声も、綺麗な瞳も、さり気ない気遣いも、本当に何もかも。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 439人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
凛樹(プロフ) - 優。さん» 励みになるコメントありがとうございます。これからも頑張りますね⭐️ (3月14日 12時) (
レス) id: 166a2c7c26 (このIDを非表示/違反報告)
優。(プロフ) - ジェヒョンの魅力的なところが細やかに表現されていて、とても面白いです。特に主人公がジェヒョンに落ちてしまう流れが綺麗すぎました！ (3月3日 9時) (レス) @page8 id: 6fd716d240 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：凛樹 | 作成日時：2023年9月23日 2時
