Blue ページ17
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｢言ってみて、どうして欲しいか｣
ジェヒョンのその言葉が何度も頭の中を反芻しているのに、ちっとも意味を理解できない。
｢中途半端な気持ちで、男の家に上がり込んだりしないんでしょ｣
試すような口振りでそう言ったジェヒョンの瞳が私を真っ直ぐに射抜く。
もう完全にジェヒョンの手の中だ。
私には文字通り逃げ場なんてない。元より端から逃げるなんて選択肢も用意されていない。
私の頬に触れていたジェヒョンの指が、今度はゆっくり耳朶をなぞる。
｢どうするの｣
黙りこくっている私を見て、ジェヒョンは心底楽しそうに笑った。
ここで本当のことを言ってしまえば、多分ジェヒョンとはもう会えなくなるような気がした。
だからってこんな所まで着いてきて、ジェヒョンが望むような枠に収まるのも絶対嫌だった。
｢ジェヒョンは、私をどうしたいの？｣
余裕そうに笑っていたジェヒョンの表情が固まる。
｢やっぱりおれのこと試してる？｣
｢先に仕掛けてきたのはジェヒョンでしょ｣
｢う、まあそうだけど、｣
先程までの勢いを失って、歯切れの悪い言葉と共にジェヒョンは口元を手で覆い隠す。
そんなジェヒョンを横目に、淹れてくれたコーヒーを一口飲んだ。苦味と、仄かな酸味が私を冷静にさせてくれる。
余裕なフリをしているけれど、本当は微塵もなかった。
このままジェヒョンに飲まれて、曖昧な関係になってしまった方が楽なんだろうけど、私にもプライドがある。
どうせ沈むとわかっていても、このまま沼の底まで落ちたくはない。悪足掻きくらい、させて欲しい。
｢ねえA｣
私が返事をするより先に、ジェヒョンは私の手からマグカップを優しく奪うとテーブルに戻した。私の両手はジェヒョンに掴まれたまま。
｢どうする？｣
｢どうするって？｣
｢逃げられないけど｣
｢そうだね｣
｢よっぽど余裕あるんだ｣
言葉と同時にソファに押し倒される。
｢A｣
鼻先が触れる距離にジェヒョンの顔があった。
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続く
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凛樹(プロフ) - 優。さん» 励みになるコメントありがとうございます。これからも頑張りますね⭐️ (3月14日 12時) (
レス) id: 166a2c7c26 (このIDを非表示/違反報告)
優。(プロフ) - ジェヒョンの魅力的なところが細やかに表現されていて、とても面白いです。特に主人公がジェヒョンに落ちてしまう流れが綺麗すぎました！ (3月3日 9時) (レス) @page8 id: 6fd716d240 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：凛樹 | 作成日時：2023年9月23日 2時
