Blue ページ16
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正直男の二人暮らしって、雑多な感じかと思っていたけれど。
玄関に並べられているのは必要最低限の靴。
すぐ横のサイドボードには、ディフューザーが置かれている。
｢おじゃまします｣
あまり見渡すのも失礼かと思って、ジェヒョンの背中を追いかける。
案内されたリビングのテレビボードには、 いくつか写真が飾ってあった。ふと1枚の写真が目に留まる。
｢この隣の人が弟？｣
｢そう。弟のジョンウ｣
ジェヒョンの隣でかわいらしい顔の男の子が笑っている。
顔は似ているような、似ていないような。
だけど漂う雰囲気や空気感は確かに同じなのかもしれない。
｢言われてみれば似てるかも｣
私がそう言うとジェヒョンは嬉しそうに笑窪を見せてくれた。
｢A、コーヒー飲む？｣
｢お願いします｣
｢じゃあソファに座って待ってて｣
埃ひとつない床。棚に綺麗に並べられたレコードや香水。
カウンター越しから見えるキッチンも食器類や調味料が綺麗に整列している。
｢すっごく部屋きれいだね｣
キッチンでコーヒーを準備してるジェヒョンにそう言うと、｢おれじゃなくてジョンウ！｣と彼は言った。
｢綺麗好きなんだね｣
｢本人は騒がしくて犬みたいだけど｣
もう一度写真の男の子を見やる。
確かに犬みたいだと言われると、何だかそんなふうに見えてくるから不思議だ。
こうして見ると、ジェヒョンが恋人が欲しいわけじゃない、と言った理由が少しわかるような気がした。
多分ジェヒョンは、今のこの弟分との二人暮らしを気に入って、満足しているのだろう。
彼にとって必要なのは恋人との甘い時間や親密な空気感ではなく、気のおけない弟との何気ない日々の積み重ねなのかもしれない。
そう気付いた瞬間、この空間に存在している自分がとても異端に思えた。
そして何より、浅ましいような気がした。
｢そんなに難しい顔してどうしたの。飲みすぎた？｣
いつの間にそこにいたのか、ジェヒョンはマグカップをテーブルに置いて私の隣に座っていた。
｢ううん、違う｣
｢じゃあなに？｣
｢なんでもない｣
｢うそだね｣
ジェヒョンの男らしい手が、そっと私の頬を撫でた。
｢言ってみて、どうして欲しいか｣
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凛樹(プロフ) - 優。さん» 励みになるコメントありがとうございます。これからも頑張りますね⭐️ (3月14日 12時) (
レス) id: 166a2c7c26 (このIDを非表示/違反報告)
優。(プロフ) - ジェヒョンの魅力的なところが細やかに表現されていて、とても面白いです。特に主人公がジェヒョンに落ちてしまう流れが綺麗すぎました！ (3月3日 9時) (レス) @page8 id: 6fd716d240 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：凛樹 | 作成日時：2023年9月23日 2時
