Blue ページ15
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自分が住んでいる街、普段何気なく眺めている景色がジェヒョンの隣で見るだけでこんなに鮮明に映るなんて。
｢コンビニ寄る？｣
駅前のコンビニで必要な物を調達すると、いよいよ分かれ道だった。
この角を左に曲がれば、まだ今ならジェヒョンから、このどうしようもない底なし沼から抜け出せる。
｢本当にいいの？｣
ジェヒョンはとことんずるい。
繋がれた手をわざとほどくと、私の顔を覗き込んでくる。
選択肢を与えてるふりをしているけど、最初から答えなんて決まっている。最後は私自身の意思で選んだって思わせたいんでしょ。本当にずるくてどうしようもない人。
｢うん｣
私の返答にジェヒョンは笑窪を浮かべて頷くと、｢じゃあこっちね｣と、手を引いた。
そんなジェヒョンの思い通りに振る舞う自分だって、どうしようもないヤツだ。
駅から少し離れた所にある、ファミリー向けのマンション。
ジェヒョンと共にエレベーターに乗り込む。
｢緊張してるの？｣
｢まあ…｣
｢取って食ったりする訳じゃないんだから｣
低い声を震わせて笑う彼は、私の顔を見ると笑うのをやめた。
｢もしかして、そのつもりだった？｣
｢中途半端な気持ちで、男の人の家に上がり込んだりしない｣
｢もしかしておれ、試されてる？｣
｢試されてるのは私の方でしょ｣
｢どうだろうね｣
ジェヒョンはそう言うと、私の髪を耳にかける。
私の耳に触れるジェヒョンの手。
ゆっくりと近づいてくる、ジェヒョンの顔。
耐えきれず思わず目を瞑った瞬間だった。
｢着いたよ｣
ジェヒョンの心地よい声が耳元で響く。
そして私の顔を見るなり、大爆笑を始めた。
｢そんなに笑わなくても！｣
｢いや、もう、ほんっとうに｣
私だって自分で舞い上がって馬鹿だと思ったけど！
あんなことされたら誰だってキスされると思う。
笑い声を響かせながら、廊下を歩くジェヒョン。
｢もう知らない｣
｢あ、拗ねた｣
｢ジェヒョンがバカにするからいけないの｣
｢だってさ｣
ジェヒョンはすごい力で暗証番号をタップすると扉を開けた。
｢Aがあまりにもかわいかったから｣
ほらどうぞ、って私を招き入れるジェスチャーをしながらそう答える彼に、めまいがした。
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凛樹(プロフ) - 優。さん» 励みになるコメントありがとうございます。これからも頑張りますね⭐️ (3月14日 12時) (
レス) id: 166a2c7c26 (このIDを非表示/違反報告)
優。(プロフ) - ジェヒョンの魅力的なところが細やかに表現されていて、とても面白いです。特に主人公がジェヒョンに落ちてしまう流れが綺麗すぎました！ (3月3日 9時) (レス) @page8 id: 6fd716d240 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：凛樹 | 作成日時：2023年9月23日 2時
