Blue ページ13
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他愛ないことを話して、駅までの道を歩く。
やっぱりジェヒョンは私の手を握っていた。
｢今回も予約してくれてありがとう｣
帰り道、そう言ったらジェヒョンはまた笑窪を浮かべた。
｢いいの。こっちまで来てもらったから、お礼｣
｢それくらい、何ともないよ｣
｢おれからすれば何ともあるの｣
｢やさしいね｣
｢誰にでもやさしいわけじゃないよ｣
そう言ってもう一度私に笑うジェヒョン。
きっとわざとそうやってるんだろうな。
こんなことされて、ときめかない女の子きっといない。
｢ねえ、A｣
不意に名前を呼ばれて顔を上げる。
｢明日も仕事は休み？｣
｢え、うん｣
｢今日弟いないから、家に来る？｣
｢え？｣
急展開過ぎて、ついていけないけど。
そんなことよりも。最後の私の理性が告げる。
この誘いにのったら、二度と望む場所には立てなくなるって。
わかってる。わかっているのに。
風と一緒に流れてくる、ジェヒョンの香水の匂い。
繋いだ手から伝わってくる、ジェヒョンの体温。
そして何よりも。ちょっと熱っぽい瞳で私を見つめるその表情。
ぜんぶ、何もかもが、悪い魔法みたいだ。
｢…メイク落とし、持ってない｣
｢帰りに買う？｣
｢…コンタクトは？｣
｢洗浄液貸すよ｣
｢メイク道具もないし｣
｢すっぴんだってかわいいよ｣
｢着替え｣
｢一緒に洗濯する？｣
どこかで冗談だよ、って言って欲しいのに。
逃がさない、そう言われているかのように、繋いだ手を握る力が強くなった。
もう後戻り出来ない。
それでもいいの？
｢お願いします｣
私の答えに、無言で笑う彼は綺麗な顔をした悪魔だった。
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凛樹(プロフ) - 優。さん» 励みになるコメントありがとうございます。これからも頑張りますね⭐️ (3月14日 12時) (
レス) id: 166a2c7c26 (このIDを非表示/違反報告)
優。(プロフ) - ジェヒョンの魅力的なところが細やかに表現されていて、とても面白いです。特に主人公がジェヒョンに落ちてしまう流れが綺麗すぎました！ (3月3日 9時) (レス) @page8 id: 6fd716d240 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：凛樹 | 作成日時：2023年9月23日 2時
