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N side
『トイレに行く』と席を立ってから、なかなか戻ってこなかった大野さん。
その間に運ばれてきた機内食も湯気が消える程時間が経ってて
「すみません...これ、また後で持ってきてもらうことってできます?」
CA「はい。大丈夫ですよ^^」と一旦大野さんの席に置かれた美味しそうな魚料理を下げてもらった後、俺はトイレまで様子を見に行ったんだ。
そしたら
智「...だいじょーぶ!」なんて声が返ってきたけど、全部が平仮名に聞こえるし全然大丈夫には思えなくて
「ねぇ、一回出てこれる?」って言ってしばらく待ってたんだけど、一向に開く気配のない扉。
『どうしたもんか...』と策を考えてた時『ガチャッ...』と静かに鍵の開く音がして、目の前に現れた大野さんは
智「ふぅ...」と唇を震わせながら壁に手をついて
智「おそくなって、ごめんね...^^」なんて言って少しだけ口角を上げたんだ。
その明らかな強がりに対して素直になれない俺が
「余計な事、気にしなくていいから。」といつもみたいにぶっきらぼうに返すと、ホッとした様子で
智「ふふっ...^^」ってまた少し口角を上げた大野さん。
「とりあえずここじゃ寒いし、席戻ろっか。」と俺が差し伸べた手に遠慮がちに重なった綺麗な手はすごく冷たくて驚いたけど
智「...ありがと。」って言いながらフラフラの身体を全部俺に預けてくれたから、俺はそのままその細い腰を腕で支えつつ
「ゆっくりでいいですからね。」と大野さんの歩幅に合わせるように席に向かったんだ。
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作者名:みのり | 作成日時:2022年4月25日 18時