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J side
空になったタッパーを片付けてたら『バサッ!』って布団を捲る音がして、ふと振り向いたらそこにはベッドの端に座って両手で義足を持ったリーダーの姿。
「リ、リーダー?」と咄嗟に絞り出した声に被せるように
智「松潤...」って言われた俺は、とりあえず持ってたタッパーをカバンにしまって
「ん?どした?」なんて出来るだけいつも通りを装って隣に座ったんだ。
そしたら義足を強く握りしめて
智「もっかい、みんなとっ...」って声を詰まらせて俯いたリーダー。
その先に何が言いたいかなんて、俺には痛いほど分かったから
「大丈夫。俺たちは、ずっと傍にいるよ。」と肩を抱き
智「ふぇっ...」って泣きながら義足を抱きしめるその細い背中をしばらくさすっていた。
数分後
智「ごめん...」と顔を上げて俺から離れたリーダーは、膝から下のない右足をそっと触って
智「久しぶりだから、ブカブカかも。」なんて言いながら丁寧に義足を装着。
智「ちょっと、手貸して?」って差し出された細い手を迷わず握った俺は
智「ふぅ...せ〜のっ!」と勢いをつけて立ち上がった身体が倒れないようにギュッと力を込めたんだ。
そしたら自然と抱き合う形になって
智「...ふふっ^^」
「リーダー、こんな小さかったっけ?」
智「むぅ...」
「ははっ^^ごめんごめん!」って久しぶりに心の底から笑いあえた俺たち。
結局義足が少し大きくて不安定だったからすぐベッドに座っちゃったけど
智「また作り直して、デザインも考えなきゃね^^」
そう言ってふにゃっと笑うリーダーは、もう前しか見てなかったんだ。
それから1週間後、俺たちのグループメールにはほぼ毎日リハビリ動画が上がるようになって、その2ヵ月後には
智「昨日ね、新しい義足出来たの^^」って自分でデザインした義足を見せてくれたリーダー。
その義足には5色の虹と綺麗な青い鳥が描かれてて、病室に貼られた一枚の原画の下に書いてあった『歩』の文字は、あれから弱さを見せなくなったリーダーの秘めた強さを物語っていた。
END
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作者名:みのり | 作成日時:2022年4月25日 18時