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ep.6 Patriot ページ6

「この姿でははじめましてだね、エル、A。」

「えーと、何が何だかさっぱりなんですけど?」

「驚くのも無理はない。…全て説明しよう。これは君たちにも深く関わる話だからね。」


トーマスは近くにあった椅子を引き寄せ座った。


「…長い話だ。君たちも楽にして聞いてくれ。」


促されるまま二人もベッドに腰掛ける。


「まずは俺の出自からだ。さっきも言った通り、俺はデルオラ国王直属の特務機関〈G.A.L(ガル)〉に所属している。隠蔽工作から暗殺までなんでもござれの仕事人さ。…と、いってもいつも後ろ暗い事をやってる訳じゃない。普段は王国の平和の為に走り回ってるのさ。」

「は、はぁ。」

「そんな訳で俺も普段は大臣たちの身辺調査をしてるんだが、数年前にある噂を耳にしてね。『反体制派がエルフ族と手を組んで王位の簒奪(さんだつ)を目論んでいる』というものだ。よくある噂だと思っていたが念のため調べてみたところ、これがビンゴでね、かなり大掛かりな計画だったんだ。」


トーマスはちらとこちらを見遣り、続ける。


「しかも厄介な事にその計画は既に進められていてね、事前に阻止することができなかったんだ。…それで俺たちが各地を飛び回ってる訳なんだが。」


トーマスはエルの方に向き直る。


「で、だ。この計画がエルに深く関わりがある話なんだ。」

「え、私?」

「なんで国の話とエルが結びつくんですか?」

「『福音計画』と拝借した彼らの資料には書いてあったんだけどね、何が福音なんだか分からんが、概要をざっくりいうと『世界から魔力を消滅させて魔術士を無力化しよう』という計画なんだ。」


『魔術士の無力化』これが意味するところは大きい。国民は日常的に魔術に頼って生活している。もし魔術が使えなくなればライフラインなども機能を停止して国は大混乱に陥るだろう。また、国防の面でも大打撃を受けるだろう。現在の武力組織の戦力はほとんどが魔術士によって賄われているのだ。


「お察しのように『魔術士の無力化』は様々な悪影響を与えるだろう。だが、我々〈G.A.L(ガル)〉が最も恐れているのはエルフ族との戦争だ。」


戦争。平和なデルオラに暮らしている二人にとっては馴染みがない言葉はどこか遠くの存在であるかのように耳に響く。


「その昔、人間とエルフ族が友好条約を結べたのはお互いの力が拮抗していたからだ。…エルフ族はその高い身体能力では人間を遥かに凌ぐが魔術は使えないからね。」

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設定タグ:魔法 , 武器職人 , ファンタジー   
作品ジャンル:ファンタジー, オリジナル作品
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ブルードラゴン(プロフ) - どうも、ブルードラゴンです!更新滞っててすいませんでした。お詫びといっては何ですが、2話同時公開しました。悪しからず。 (2018年7月22日 17時) (レス) id: c16af61e6b (このIDを非表示/違反報告)
伶音(プロフ) - ブルードラゴンさん» 悪魔の罠だとしたら……………………? (2018年6月9日 13時) (レス) id: f73e8dd60b (このIDを非表示/違反報告)
ブルードラゴン(プロフ) - 伶音さん» 天使のいたずらか、悪魔の罠かw (2018年6月5日 7時) (レス) id: c16af61e6b (このIDを非表示/違反報告)
伶音(プロフ) - まだ、1話しかないのに過去最高32位!? (2018年6月5日 7時) (レス) id: f73e8dd60b (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ブルードラゴン | 作成日時:2018年5月27日 23時

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