15 THside ページ15
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首から下げた予備のかぎで、ドアを開ける。部屋の中は暗くて、足元に転がった空き缶で転びそうになった。背伸びしてつけた部屋の明かり。食べ残したコンビニのお弁当はそのままテーブルに置き去りのまま。脱ぎ散らかした服の山、知らない男の人の下着が床に落ちていた。
「ただいま…」
一人の部屋に「おかえり」と帰って来ない言葉。
わずかに空いた床のスペースにひざを抱えて座った。
「あー…ダルい…」
「お母さん…」
「テヒョン…帰ってたの？ごめん、気づかなかった…。夕飯適当に食べてくれる？」
「うん…」
「それと、仕事前に寝るから静かにしてて」
「はい…。あの、お母さん…、」
バタンと閉まったドアに、俺はそれ以上何も言えなかった。お母さんはきっと、昨日の俺との会話も覚えていない。俺がどんな服を着て、いつ学校から帰って来たのかも。開けたれいぞうこの中身は、缶ビールだけ。
適当にって、何もない…。
ランドセルから取り出したのは、お姉さんからもらったお菓子。俺が何が好きなのかわからなかったから色々くれて、その色々な物の名前すら俺には聞きなれないものばかり。パッケージに書かれた名前を見て、それがこのお菓子の名前なんだって知った。
「名前……お姉さんの名前…」
お姉さんは、俺の事を『テヒョン君』って呼んでくれる。
でも俺は、お姉さんをAさんって呼べない。
呼びたいのに、呼んでいいのかわかんない。
口に入れたキャンディーは甘い味。
お姉さんの甘い匂いと似てる。
ポケットから取り出したのは、お姉さんのハンカチ。返しそびれて持って帰ってきてしまった。口元にハンカチを当てて目を閉じる。お姉さんの触れた部分を思い出して、このハンカチのどこに触れたのか。
ほほが熱をもったように熱い。
心ぞうが大きな音を立てて、目の前がぼうっとする。
「Aさん…」
俺…なんか変だ…。
さよならしたばかりなのに、お姉さんにまた会いたい。
名前を呼んで欲しい
お姉さんのことが知りたい
俺のこと、抱きしめてほしいなんて思ってる。
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bluemoon(プロフ) - いきゅさん» コメントありがとうございます。ようやく続編を書くことが出来そうになりましたので、また宜しくお願い致します。更新頑張ります！ (2021年10月17日 19時) (
レス) id: 4f57fd01cd (このIDを非表示/違反報告)
いきゅ(プロフ) - 続編待ってます🥲 (2021年10月16日 8時) (レス) @page50 id: bbc12a723a (このIDを非表示/違反報告)
bluemoon(プロフ) - あやさん» あやさんコメントありがとうございます。一度完結と致しましたが、いつか続編は書きたいと思っております。テヒョン君が成長していくことで色々な、恋愛的な展開にもお話が広がっていきそうです。コメントとても嬉しかったです！ありがとうございますね(*^^*) (2021年10月3日 12時) (レス) id: 4f57fd01cd (このIDを非表示/違反報告)
あや(プロフ) - わーもうワクワクしちゃいます！ソワソワもしちゃいます笑今一番好きな作品です！応援しています！ (2021年10月1日 23時) (レス) @page50 id: f95d4748bc (このIDを非表示/違反報告)
bluemoon(プロフ) - てぴょんさん» てぴょんさんコメントありがとうございます。このお話はテヒョン君オチのお話の筈なのに…書いていると違う路線に行ってしまいそうになります。他の方々の恋愛は番外編で書かせて頂きますね。更新頑張ります！ (2021年9月21日 18時) (レス) id: 4f57fd01cd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：bluemoon
| 作成日時：2021年9月7日 10時
