9 YG side ページ9
しっかりと聞こえるように肩を抱き寄せて耳元で声をかける。
「落ち着け。大丈夫。大丈夫だから。今、楽にする薬、頼んでるからすぐ楽になる。」
そういうと、虚ながらもこっちを見た。
『…ゆ…んぎさん、』
今頃気づいたのかよ、と言いそうになるが、それすらも分からないぐらい具合が悪いんだろう。
「そう。大丈夫。気持ち悪いの全部吐いちゃって。」
少しでも吐きやすくなるようにと背中を強めに摩る。
『ヴッ…ンンッ…や…やめっ…ヴェッ…ゲボッ…ゴボッ』
吐くのが嫌なのか体を捻って逃げようとしたので、申し訳ないがしっかりと抑えさせてもらった。
「動かないで。」
少し真面目なトーンで声をかけると諦めたようにひたすら吐き始めたA。
『ヴェェェッハッハッハッ…はぁっはぁ…ヴェッゲホッゴホッ』
とにかく吐き続けるAを見て、代われるものなら代わってやりたいと強く思う。
いくら吐いても吐いても気持ち悪いのか涙目で胃液をもどし始めた。
口から出てくるのはもう胃液だけだ。
点滴はまだかと時計を見る。もう5分以上たっただろう。
自分で取りに行ったほうが早いかもしれない。
様子を見に行こうと一旦支えていたAの体を横にした。
吐瀉物で窒息しないように横を向かせて下にはタオルを敷いてやる。
それでも尚、戻し続けているのを見て何もできない自分にひたすら腹が立った。
急いで点滴のために席を立つとドアを開けたところに息を切らした新人ナースがいた。
「私…、すみません、遅くて。」
だいぶ探したんだろう。涙目で申し訳なさそうに俯く姿は可哀想だったが生憎それをフォローする時間も叱ってやる時間もない。
「ありがと。」
一言軽く返して急いでAのもとに戻った。
「ごめん、苦しいな。点滴入れるぞ。」
音もなく吐き続けるAに声をかけながら、力を入れすぎて硬直した左腕を伸ばす。
消毒をして入りそうな血管を探す。
これならいける…か?
元々刺しにくい血管なのに脱水でさらにやりずらい。でも今の状態で手の甲に刺すのは酷なので何とか針の刺せそうな血管を見つけた。
『
いだっ…ヴェッゲボッ…ハァハァ』
多少痛がられたものの上手く針が入って安心する。
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桜桃(プロフ) - すみませーん。こちらにも メッセージ!!つけておきます (2月22日 8時) (レス) id: 905d7f2212 (このIDを非表示/違反報告)
ユハ - とってもこの作品が好きです!お忙しいところ思いますが無理せず、更新お待ちしております。 (2月13日 5時) (レス) id: 56b83be86e (このIDを非表示/違反報告)
なな(プロフ) - 蒼色さん» 申し訳ないなんて…!!お忙しい中なのにも関わらず更新していただけることがありがたいです🙇♀️💕自分の作品はもう更新停止というより放置しているような感じなので蒼色さん尊敬です……笑。素敵なチョン兄弟をありがとうございました! (12月22日 2時) (レス) @page22 id: d4a699c992 (このIDを非表示/違反報告)
蒼色(プロフ) - 鹿さん» 更新遅れてすみません。ジョングクの可愛さは無限です笑 (12月14日 13時) (レス) id: 3f04ad914f (このIDを非表示/違反報告)
蒼色(プロフ) - ななさん» そういっていただけて嬉しいです。すっかり更新速度落ちてしまって申し訳ありません💦チョン兄弟私も愛してます笑笑 (12月14日 13時) (レス) id: 3f04ad914f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:蒼色 | 作成日時:2023年11月12日 19時