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処置が終わると自分も椅子に座ったユンギさん。
『あのっ…すみません。』
YG「…それは何に対して?」
私の目を見ないままのユンギさん。
怖くて声が震える。
でも自分のしたことだからしっかりと話さなきゃ、と思ってゆっくり上半身を起こした。
『ユナさんのこと…。上手にできなくて私までパニックになりかけてっ…患者さんに怪我を合わせてしまってすみませんでした。』
実習生とはいえ同じ白衣を着ているんだ。
散々色々な人から言われた言葉だったが、これほど身に染みて思ったことはない。
YG「まあね。もっと助け呼ぶとかもっといい方法はあっただろうね。」
どこか他人事なユンギさん。もっと怒鳴られたりするものかと思った。
『…怒ってるんじゃないですか?』
YG「…まあ多少はね。でもまだ学生だし俺たちもそこまで期待してるわけじゃない。それにそういうのは後で散々ホソクからやられるでしょ。」
そう軽く返されて拍子抜けする。
『そう…ですか。』
それじゃあ何が言いたいんだと私の訝しげな視線に気づいたのかゆっくり話し始めた。
YG「俺が言いたかったのは…ただ心配したってこと。病室に入った時血まみれのお前を見て正直焦ったわ。なのに自分で歩くとかいうし。」
気まずそうに目を逸らしながら話すユンギさん。
『すみません。』
YG「いや、こっちこそ悪かった。最近自分の母親のことを知ったばっかなのに辛かったろ。俺もユナさんの流産のこと知ってたのにお前がユナさんの担当じゃないから大丈夫だろうと思って一緒についていかなかった。」
その言葉に何だか熱いものが胸から込み上げた。分かってもらえた安心、というのだろうか。
本当に私は呆れるほどに都合がいい。
朝は自分の昔の事情を知っているユンギさんの前から一刻も早く逃げ出したいと思ったのに、今は自分の気持ちをわかってもらえて嬉しいと思っている。
病室で堪えた分の涙であっという間に視界がぼやける。
涙を拭いても拭いても全然クリアにならない視界。
YG「よく頑張ったな。」
私の肩を軽く抱き寄せてゆっくりと背中をさすってくれる。
『そんなことッ…ますます涙がッ…止まらなッ』
しゃっくりで上手く続かない私の声。
YG「止めなくていいよ。怖かっただろ。泣いていい。」
今までにないほどのユンギさんの優しい声で、泣き止むことを知らない赤ちゃんのようにたくさん泣いた。
ユンギさんはその間もずっと背中を摩ってくれた。
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桜桃(プロフ) - すみませーん。こちらにも メッセージ!!つけておきます (2月22日 8時) (レス) id: 905d7f2212 (このIDを非表示/違反報告)
ユハ - とってもこの作品が好きです!お忙しいところ思いますが無理せず、更新お待ちしております。 (2月13日 5時) (レス) id: 56b83be86e (このIDを非表示/違反報告)
なな(プロフ) - 蒼色さん» 申し訳ないなんて…!!お忙しい中なのにも関わらず更新していただけることがありがたいです🙇♀️💕自分の作品はもう更新停止というより放置しているような感じなので蒼色さん尊敬です……笑。素敵なチョン兄弟をありがとうございました! (12月22日 2時) (レス) @page22 id: d4a699c992 (このIDを非表示/違反報告)
蒼色(プロフ) - 鹿さん» 更新遅れてすみません。ジョングクの可愛さは無限です笑 (12月14日 13時) (レス) id: 3f04ad914f (このIDを非表示/違反報告)
蒼色(プロフ) - ななさん» そういっていただけて嬉しいです。すっかり更新速度落ちてしまって申し訳ありません💦チョン兄弟私も愛してます笑笑 (12月14日 13時) (レス) id: 3f04ad914f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:蒼色 | 作成日時:2023年11月12日 19時