義理の兄は医者でした3 (ページ48)

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腕に何度も刺さる尖ったガラス。
泣きながら私を罵倒するユナさん。

強張って動かない体は何の役にもたたない。

YN「ｯｯあんたの…せいで…ｳﾜｧｧｧｯｯ」

ユナさんの涙が私の顔にも落ちてくる。
流産という事実に申し訳なくて、悲しくて私の視界も水で滲んだ。

『…ｯふっ…ごめｴｯ…なさいﾊｯﾊｯ』

苦しくて辛くて
もう何でもいいと全てを投げやりたくなる。

頭も腕も身体中全部痛い。気持ち悪い。息ができない。もういっそ早く気絶してしまいたい。

『…んっはぁはぁはぁ…ごめ…っふ…なさｳﾞｯ…ﾊｯﾊｯﾊ…』

全部諦めてしまおうかと手の力を抜きかける。

…

その時、何となく前に言われたユンギさんの言葉を思い出した。

「絶対お前のせいじゃない。そんなこと言われてもって思うかもしれないけど、今は耐えるしかない。」

本当に私のせい？

ふと我に返る。よく考えれば風邪が原因で流産だとは思えないし、そもそも私は風邪すら引いていなかった。

何とか残る力でソヒさんの手首を力一杯握る。

頭を守るものがなくなった今、握られたガラスの破片とユナさんの顔がはっきりと見える。ユナさんの苦しそうな顔もよく見えた。

『…先生はｯ何て言ってましたか？』

YN「…ｯえ？…」

ユナさんの瞳が大きく揺れる。

予想外だったのか手の力が少し弱まった。

『ユナさん…が風邪をひいた…せいだなんて先生は言ってましたかｯ？』

ユナさんの顔が歪んだ。

きっとユナさんはすでに産婦人科の先生から説明を受けているはずだ。

妊娠初期での流産は遺伝子の時点でそう決まっていることがほとんどだし、風邪が赤ちゃんに影響を及ぼすことはほとんどないと言うこと。

YN「うるさいｯｯｯｯ！…そんなの…関係…ない！あんたのって…せいｯで。」

ユナさんの痛々しい表情、涙、私を責める姿。

その姿がなぜかすごく自分と重なった。

全く違った境遇、そして被害者と加害者になりうる関係かもしれないのに、私にすごく似ていると思った。

『分かりますよ…全部じゃないけど、でも分かりますっ』

ユナさんにとっては軽薄以外の何でもない言葉かもしれない。それでもどうしても伝えたかった。

YN「ｯｯ…あんたに何がｯ！…若くて健康なあなたに…っ何が分かるの！！」

私の言葉にまた少し、ユナさんの手の力が弱まる。

『私も…大切な人を亡くしたことがあります。…そうやって何かを責め続けるのって辛くないですか？』