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廊下で動くこともできずに突っ立っている私。
病室からはソヒさんのキンキンとした高い声とそれを静止しているであろうユンギさんたちの声が聞こえてくる。
一度ホソクさんが病室を出て行ったがすぐに戻ってきた。
片手には点滴の袋が握られている。よくは見えなかったがきっと精神安定剤の類だろう。
強く握られた左手首を見るとまだソヒさんの手形と爪の跡が残っていた。
ソヒさん、大丈夫かな。流産の事実を知ったらどうなってしまうんだろう。
そもそも流産ってどんな気持ちなんだろうな。きっと苦しいよね。
「…A?」
大事な人の赤ちゃんも亡くすのも辛いだろうな。
「おーい、聞こえてる?」
赤ちゃんも可哀想に。
YG「おい、A、」
肩を強めに叩かれた。目の前には少し焦った顔のユンギさん。
『…え、あ、はい。何ですか?』
YG「何ってずっと呼んでたんだけど。」
ずっと呼ばれていた…らしい。
深く考え込みすぎてしまったのか何も聞こえていなかった。
『あ、すみません。考え事してました。』
YG「大丈夫かよ、」
呆れたような顔をするユンギさん。きっと流産のことで私がパニックになっていないか心配してくれているんだろう。
『はい、ソヒさんは大丈夫ですか?』
YG「あー、うん。カルテ見たなら知ってると思うけどソヒさんも数年前に流産されてるから重なるとこがあったんだと思う。一旦鎮静入れて落ち着かせた。」
微妙な返事。他人事とは思えない事態にユンギさんから目を逸らす。なんとも言えない居心地の悪さを感じた。
『そう、ですか。』
YG「結構な勢いだったけどお前は怪我とかない?」
咄嗟に左手首を右手で覆って隠す。
『はい、大丈夫です。』
YG「ならいいけど…。うまく対応してくれてありがとな。」
そう言ってくれるユンギさんだが、私の対応はとても上手かったとは言えない。
曖昧な態度でソヒさんに火をつけてしまった部分も大きいだろうし…。
『…いえ。すみませんでした。』
YG「礼言ってんのに謝るなんて変なヤツだな。」
鼻で笑われる。
ユンギさんのこの意地悪な笑みを何度見たかわからない。
『すみません…私もう戻りますね。』
ナースステーションに向かおうとすると軽く手を掴まれた。
YG「少し休んでからにしとけよ。」
『いえ、大丈夫なので。』
今はとにかくなぜかユンギさんから逃げたくてたまらなかった。
YG「自分の顔色分かって言ってる?」
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蒼色(プロフ) - Mahoriさん» 結局作りましたー笑ありがとうございます! (11月21日 4時) (レス) id: 3f04ad914f (このIDを非表示/違反報告)
Mahori(プロフ) - 蒼色さん» まさか続きが作られているとは…!今から飛んで読みに行きます😉 (11月16日 20時) (レス) id: 242b4e213d (このIDを非表示/違反報告)
蒼色(プロフ) - にゃんさん» 初めてのコメント、ありがとうございます。そういっていただけると嬉しいです。続き出しました☺️ (11月15日 13時) (レス) id: 3f04ad914f (このIDを非表示/違反報告)
蒼色(プロフ) - せいなさん» 嬉しいコメントありがとうございます!続き出しました! (11月15日 13時) (レス) id: 3f04ad914f (このIDを非表示/違反報告)
蒼色(プロフ) - 志帆さん» 続き出しました! (11月15日 13時) (レス) id: 3f04ad914f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:蒼色 | 作成日時:2023年9月24日 18時