義理の兄は医者でした3 (ページ43)

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SH「ねぇ、Aさん、昨日の夕方からユナがお腹痛いって言ってて検査のためにって産婦人科の方に行ったんだけど、その後どうなったか知らない？」

私が病室に入るなり早口で捲し立てたソヒさん。心配でたまらないといった顔だ。目の下にうっすらとした隈がある。きっと昨晩もあまり寝られなかったんだろう。

そうか、まだユナさんは病室には戻ってきていないからソヒさんは流産したと知らないのか…。

これからその事実を知ることになるであろうソヒさんに勝手に胸が痛くなった。

だからと言って私の口から伝えていい事実なわけもない。そもそも守秘義務というのもあるし…。

『いえ、あの…私の口からはお答えできません。』

そういうと、ソヒさんがあからさまに顔を顰める。

SH「どういうこと？それはユナの容体がよくないってこと？」

曖昧な態度が良くなかったのかさらにソヒさんの不安を煽ってしまったらしい。

手首を強く引っ張られる。その細い腕からは想像できないほどの力で鈍い痛みが手首に走った。

『…それはなんとも…。』

私の返事にソヒさんの手にもっと強い力が籠る。

SH「はっきりして。どういうこと？ユナに…ユナと赤ちゃんに何かあったの？！」

狂気すら感じるソヒさんの必死さ。
自分の流産とも重なっているのかもしれない。

『いえ、私からは…』

それでもやっぱり答えることはできない。大丈夫ですよ、安心して下さいと言えたらどんなに良かっただろう。

SH「お願い！答えてよ…」

綺麗な二重の目から今にも溢れ落ちそうなほどの涙の幕が張っている。

『いえ、すみません。』

SH「お願いだから…！ｯ」

私に縋り付くように上半身を預けるソヒさんに何も伝えることのできない苦しさ、そして伝えたとしてもさらにソヒさんに追い打ちをかけることになるだろう。

本当にどうしたらいいのかわからなくなってきた。

その時に単調なノックが３回。

入ってきたのはユンギさんとホソクさんだった。

あぁ、朝の回診か。そう気づくのに少し時間がかかる。

YG「おはようございます、ソヒさん。何かありましたか？」

SH「いえ…」

何もなかったというには不自然すぎる私とソヒさんの顔色、そして私の胸ぐらを掴んだままのソヒさんの両手。

気まずそうにゆっくりと手を離してくれた。

ホソクさんがソヒさんを落ち着かせているうちにユンギさんにまだ病室を出るように合図された。