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ユンギさんが少し考えるような仕草をした。
YG「じゃあ賭けようか。アイツが針刺し失敗したら高いアイス帰りのコンビニで買ってやるよ。」
物で釣ってこようとするユンギさん。子供扱いしやがって。
『…約束ですよ。』
それで釣られる私も大概子供だけど。
HS「お待たせしました〜。何話してたの?」
診察室の区切りのカーテンをさっと開けて、注射器などなどが乗ったトレイと共に戻ってきたホソクさん。ユンギさんと私の顔を交互に見ながら尋ねてきた。
YG「お前が針刺しのプロだって話。」
HS「何ですか急に。褒めても何も出ませんよ。それにプレッシャーかけないでくださいよ笑。」
苦笑いしながらも淡々と準備を続けるホソクさん。二の腕のあたりに硬く駆血帯を巻きつけられる。
消毒液のひんやりとした感覚が腕に伝わって、体の芯からむずむずするような、今すぐここを去りたい気持ちに駆られる。
するとそんな私も様子に気づいたホソクさんとユンギさんが一瞬目配せをしあった。
YG「ちょっと抑えるよ。」
腕を動かせないように肩からしっかりと固定される。
HS「んー、ここは意外と深そう…。やっぱりこの血管が1番いいかな。どう思う?Aちゃん。」
こっちに話をふってくるけど申し訳ないけどこっちはそれどころじゃない。だいたい自分の血管を採血の対象なんて考えたこともないし。
『そんなの分かりませんよ…。』
YG「虐めてやるなよ笑。怖いならこっち向いてな。」
こ、これは揶揄われていたのか。気づかなかった。
顔ごと向きを変えられてユンギさんの白衣に視界が奪われる。私と同じ洗剤を使ってるはずなのに、なんだか大人っぽい匂いがして少しドキドキする。
HS「はーい、じゃあ刺すね……はい、上手に刺さったよ。このまま動かずにちょっと待っててね。」
え?もう入ったの?驚いて顔の向きを変えると、真っ赤な鮮血が注射器に溜まっている。
少し腕に痛みが走ったがぐりぐりされたりすることは特になくスムーズに血管に入ったようだ。
HS「じゃあこのまま点滴繋げちゃうね。」
あまりの鮮やかな手つきに感動する。さっと点滴をつなげてそのまま固定、速度の調整まで軽く終わらせた。
YG「な?痛くなかったろ?」
得意げな顔のユンギさん。何でユンギさんが、と思ったけれど本当に上手だったので黙って頷く。
HS「それなら良かった。」
爽やかな笑顔のホソクさん。今日またホソクさんを尊敬する理由が一つ増えました。
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蒼色(プロフ) - Mahoriさん» 結局作りましたー笑ありがとうございます! (11月21日 4時) (レス) id: 3f04ad914f (このIDを非表示/違反報告)
Mahori(プロフ) - 蒼色さん» まさか続きが作られているとは…!今から飛んで読みに行きます😉 (11月16日 20時) (レス) id: 242b4e213d (このIDを非表示/違反報告)
蒼色(プロフ) - にゃんさん» 初めてのコメント、ありがとうございます。そういっていただけると嬉しいです。続き出しました☺️ (11月15日 13時) (レス) id: 3f04ad914f (このIDを非表示/違反報告)
蒼色(プロフ) - せいなさん» 嬉しいコメントありがとうございます!続き出しました! (11月15日 13時) (レス) id: 3f04ad914f (このIDを非表示/違反報告)
蒼色(プロフ) - 志帆さん» 続き出しました! (11月15日 13時) (レス) id: 3f04ad914f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:蒼色 | 作成日時:2023年9月24日 18時