Short story ページ3
「体調悪かったりしない?ってこと。」
体調…?
体調が悪いのイメージがいまいち湧かない。なんと言っても病院とは無縁な人生を今まで送ってきたから…。
「おーい、大丈夫?風邪引いたんじゃない?頭痛かったり体が重かったりしない?」
『…する。』
自分の体調不良を自覚すると、余計にしんどくなってくるというものだ。
自分から吐き出される息が嫌に熱く感じる。
するとヒョンの大きなため息が聞こえた。
「体調悪いってことね?…えーどうしようかな…。昼まで一人で大丈夫?今日入院の患者さんが午前に入ってて忙しいんだけど。」
『…大丈夫。』
何も考えずに条件反射で出た大丈夫。本当はしんどいからすぐにきてほしい、でもそんなこと俺の学費のために頑張って働いてくれているヒョンには言えなかった。
「ほんとに?まあ無理だと思ったらすぐ連絡してね。私用のスマホも今日はずっと持っておくから。」
一方的にぷつりと電話が切れる。
待って…という掠れた声はツーツーという電話の切れた音が鳴った後に俺の耳に入った。
熱い額を自分の腕で抑えながらベットの上でボーッとする。
『…ッゲホ…ゴホッコホッ…』
だんだん意識がはっきりしてきて余計にしんどくなってくる。
あー頭痛いし喉も痛い。体も重だるくて何もする気が起きない。
動ける間にどうにかベッドから抜け出して必要最低限のものを取りに出た方がいい。布団から出ると一気に寒い気がして足先からぶるりと震えがきた。
ふらつく視界で床に足をつく。
体の表面は熱くてほてっているのに、内側からは寒気がきていて暑いんだか寒いんだかよくわからない。
なるべく早くベッドに戻りたいのでドアは開けっぱなしの最短距離。
とりあえず体温計と薬…と思ったがそんなものは家にはないんだった。
冷蔵庫までなんとか辿り着き筋トレのために冷やしておいたミネラルウォーターのペットボトルを取り出して数本枕元に置いた。
『っ…はあ…頭いた…』
少し動いただけで上がった息。息を吸って吐くたびに頭がギュッと締め付けられるように痛んだ。
口に出してみれば少しは楽になるかと思ったがそんなの無駄で、ただ自分の声が天井に向かって吸い込まれただけだ。
冷えピタなんて気の利くものももちろんあるわけがなく、冷たいミネラルウォーターのペットボトルを自分の首の下に置いてもう一度ギュッと目を瞑った。
目が覚めた時には楽になっていますようにと願いを込めて。
635人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
蒼色(プロフ) - Mahoriさん» 結局作りましたー笑ありがとうございます! (11月21日 4時) (レス) id: 3f04ad914f (このIDを非表示/違反報告)
Mahori(プロフ) - 蒼色さん» まさか続きが作られているとは…!今から飛んで読みに行きます😉 (11月16日 20時) (レス) id: 242b4e213d (このIDを非表示/違反報告)
蒼色(プロフ) - にゃんさん» 初めてのコメント、ありがとうございます。そういっていただけると嬉しいです。続き出しました☺️ (11月15日 13時) (レス) id: 3f04ad914f (このIDを非表示/違反報告)
蒼色(プロフ) - せいなさん» 嬉しいコメントありがとうございます!続き出しました! (11月15日 13時) (レス) id: 3f04ad914f (このIDを非表示/違反報告)
蒼色(プロフ) - 志帆さん» 続き出しました! (11月15日 13時) (レス) id: 3f04ad914f (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:蒼色 | 作成日時:2023年9月24日 18時