8 ページ13
いつも研修になると自分のダメさを思い知る。座学でやったことはこんなに無意味なのか、こんなに自分は役に立たないのかと無性に泣きたくなる。
『はぁぁぁ…』
息を大きく吐き出して伸びをした。
『よしっ、カラー剤買いに行こう。』
まだ初日なんだから気持ちを切り替えないと。軽くペチッと自分の頬を叩く。
ドラッグストアへ方向転換しようと後ろを振り返ると、知っている車を見つけた。
『…ユンギさん?』
ちょうど信号で止まっていたのでこっちに気づいたのか車窓を開けてくれた。
YG「おー、今終わったのか。俺家帰るけど乗ってく?」
『あー、今からドラッグストア行こうと思ってるんですよね。』
YG「なんか買いたいもんあるの?」
カラー剤を…と言おうとしたところで信号が青になる。
YG「一旦乗れよ。」
え?と思って一瞬ぼーっとすると、さっさとしろと怒られたのでいそいそと車に乗り込む。
YG「で、何買うの?ドラッグストアぐらい乗せてってやるよ。」
『主任に髪色注意されたので黒染めです。』
そういうと、ユンギさんは苦笑いをした。
YG「主任か。地毛だって言った?」
『信じてもらえませんでした。』
ユンギさんは若干哀れんだ顔をしたけどそれ以上何も言わなかった。
YG「そっか。でもまあうちには美容師の卵がいるじゃん。多分テヒョンアに頼めばやってくれるだろ。多分あいつ黒のカラー剤持ってたぞ。どうせどこかでふらふら遊んでるんだからたまには仕事させないとな。」
今あいつどこにいんのかなと1人で呟きながら、車のスピーカーでテヒョン君に電話をかけ始めたユンギさん。
あー、そう言えば。テヒョン君美容学生か。
最近青は飽きたのか、今はほとんど白みたいな銀髪だ。普通の人がやっても絶対に合わないような色も恐ろしいほどに似合ってしまう顔面偏差値が怖い。
<…もしもし、ユンギヒョン?>
いつもより低くて少し掠れた声。…寝てた?
YG「あ、テヒョン、お前家早く帰って来れる?」
<…今家だけど。あのさ、病院に休みはなくて感覚狂ってんの?世間一般では今日は祝日だよ。>
ふわーっと大きなあくびをする音が聞こえてくる。
YG「あー、そっか。お前黒のカラー剤持ってるよな?」
<…あると思うけど。なんで?>
YG「オッケー。もう少しで帰るからAの髪染めてやって。じゃ、また後で。」
<え、ちょっ、どゆこ…>
要件だけ言って電話を切るスタイル。ユンギさんらしい。
635人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
蒼色(プロフ) - Mahoriさん» 結局作りましたー笑ありがとうございます! (11月21日 4時) (レス) id: 3f04ad914f (このIDを非表示/違反報告)
Mahori(プロフ) - 蒼色さん» まさか続きが作られているとは…!今から飛んで読みに行きます😉 (11月16日 20時) (レス) id: 242b4e213d (このIDを非表示/違反報告)
蒼色(プロフ) - にゃんさん» 初めてのコメント、ありがとうございます。そういっていただけると嬉しいです。続き出しました☺️ (11月15日 13時) (レス) id: 3f04ad914f (このIDを非表示/違反報告)
蒼色(プロフ) - せいなさん» 嬉しいコメントありがとうございます!続き出しました! (11月15日 13時) (レス) id: 3f04ad914f (このIDを非表示/違反報告)
蒼色(プロフ) - 志帆さん» 続き出しました! (11月15日 13時) (レス) id: 3f04ad914f (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:蒼色 | 作成日時:2023年9月24日 18時