義理の兄は医者でした3 (ページ11)

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JM「どうだった？」

『うん、良かったよ。ジミンは？』

JM「俺も。」

私たちの会話がこんなにシンプルで必要最低限なのには理由がある。

右手にシャーペン左手におむすびで話をしているからだ。

看護学生には休憩時間ですら惜しい。夜、少しでも寝る時間を増やすために休憩時間は少しでも記録に当ててしまうのが効率な良いやり方だと何度か研修を重ねるうちに学んだ。

何でまだこんなちまちま手書きでやらなければいけないのかというとそれは、学校の上の方々からのお達しだ。コピペ防止、情報流出防止、それに自分で苦労して書かずしてどうやって学ぶんだ、と言うことらしい。

ジン先生は字が雑だったり消した跡が多くて字が読めなかったりして面倒だしかさばるので、ぜひコンピューター化して欲しいとのことだったが、自分にそれを言えるほどの権力はないので諦めろと早々に言われた。

だから私たちはもう黙ってやるしかないのである。

JM「そういえば朝、主任に呼び出されてたのは何だったの？」

ジミンは記録を書き続けながら聞いてきた。

みんなの前でわざわざ言わずに個別に呼ばれたと言うことはお説教か何かだとジミンも気づいていると思う。

その上で何でもないことのように聞いてくれるのはジミンの優しさだ。

『あー、髪色が明るすぎるから染めてこいって。これだから最近の学生はダメだとか言われちゃったよ。』

ヘラリと笑いながら話す。悔しい思いを隠すように。
するとジミンのペンが止まった。

JM「何も言わなかったの？地毛でしょ？」

『言ったけど信じてもらえなかった。』

JM「何それムカつくね。もっといえば良かったのに。」

『だって、すごい厳しく詰め寄られたから…。』

眉間に皺を寄せたジミン。
私もムカついた、ムカついたけど泣きそうで何もいえなかった。でもきっとジミンが私だったらはっきり言ってたんだろうな。

そう思うと何だか弱い自分に泣きそうだった。
まただ、大したことないのに直ぐに泣きそうになるのが私の悪い癖。

多分目の前に座ってるジミンはそれに気づいてるだろうけど困ったように笑うだけで何も言わなかった。

JM「じゃあ髪染めるの？」

まあ、それしか道はないよね、と思ってこくりと頷く。

JM「綺麗な髪なのにもったいないね。」

そう言うと記録を書くために下を向いている私の顔にかかった触覚の部分の髪を私の耳にかけてくれたジミン。

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