義理の兄は医者でした

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YG「……ます。」


翌朝ユンギさんが来た。


寝癖がついたまま、超絶不機嫌そうなユンギさんが。


絶対ソヨンさんに言われて仕方なく来ただろうという感じだ。おはようございますの肝心なところが抜けている。


本当は父が運び出してユンギさんに運んでもらう予定だったんだけど、急遽朝からの仕事が入ってしまったようでちょうど出勤するところだ。


「おはよう、ユンギくん。今日はわざわざありがとね。」


一方父はワクワクしているためか満面の笑みだ。


父の言葉に軽く首だけで一礼したあと一瞬こちらにも目を向ける。


目があって2秒、何もなかったように玄関に積み重なっている荷物を運び出し始めた。


自分たちの家から荷物がどんどんと運び出される。


やっぱりなんとも言えない喪失感が襲ってきたが、やっぱり何も言い出せなかった、というかもう手遅れな気がする。


一通り父のものを運び終わり、ユンギさんが私の元へ来た。


『あ、私のものならここにまとめてあります。』


また目が合う。ユンギさんと目が合うとなんだか私の考えを見透かされているような気がしてならない。


YG「…いいの？」


『何のことですか？』


YG「いや、別に。」


謎のやり取りをして私のものも運び出してもらう。


私も微力ながらお力添えをとそこらの段ボールを運び始める。


YG「座ってていいよ。俺運ぶから。」


『え、ありがとうございます。でも大丈夫です。そんなに非力じゃないので。』


そう言うとユンギさんは軽く笑いながらこう言った。


YG「お前、モテないでしょ？」


『なっ！失礼な！…まあ、モテませんけど。』


そう言うとユンギさんはフッと笑う。地味にこれが私が彼の笑顔を初めて見た瞬間。


元々昨日物をまとめていたこともあり、一時間もしないぐらいで全てのものを運び終えた。


YG「車、前座って。後ろに荷物積むから。」


ユンギさんの車は洒落た外車、なんかではなく落ち着いた雰囲気の高そうな国産車だった。


YG「ここから車で一時間弱の場所なんだけど、ちょっと入り組んでるところで。お前、酔いやすかったりする？」


『いや、滅多にないです。』


YG「そ。ま、気分悪くなったら教えて。」


小学生の頃の修学旅行で隣の子がやらかして、もらっちゃったことはあるけれど、元々あんまり体調を崩しても吐くタイプではない。小学生の頃を最後に吐いたことはない気がする。

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