義理の兄は医者でした

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『…え？何でいるの？ジミン。』


そこにいたのはパーカーにダメージジーンズという至って普通の格好をしたジミンだった。


JM「何でって…。怪我してるAはこの満員電車乗るの大変かな、と思って迎えにきたんだけど。何？この状況。」


意味わからない、というように肩をすくめたジミン。


『いや、まあ色々あって…。』


「この子、自分はまだ若いくせに、子供も老人も私みたいな妊婦だって立って我慢をしている中、優先席に堂々と座っているのよ！あり得ないでしょう！極めつけには先を変わってくれと頼んだのに、無視なんて！」


女性は自分のバッグのキーホルダーを高々と抱えながら、宣言するようにする。その声が大きくなるにつれて、周りの人の関心も高まっていった。


ほとんどの人が、私たちをエンタメとして見ていて、勝手に私のことを非常識だねとか言いながら面白がっている。
その状況が辛くて下を向いた。


JM「…あぁ、なるほど。でもお姉さん、妊娠には興奮も大声もピンヒールも毒ですよ。まぁ、それもアナタが本当に妊娠していれば…、の話ですけど。それよりもそのヒール、Aの足の上から退けてもらえます？」


ジミンがキレた顔を隠そうともせずにドス黒い雰囲気を醸し出したままそう言った。


『…ジミン！それは言い過ぎじゃない？』


小声で話しながらジミンのパーカーの裾を引っ張る。するとトンッと軽く肩に手を置かれた。なんだか、さっきまでは味方がいなかったのに、今はジミンがいてくれる。それだけで安心できた。


「まぁ！なんてことを言うの！本当に最近の子は！どこの大学に通っているの！？早く言いなさい！！」


女の人はついにカンカン、顔は真っ赤になった。が、そこにさらに追い討ちをかけるような出来事が起こる。


「…あれ？先輩？…妊娠していたんですか？…でもそんなこと会社では一言も…」


スーツを着た賢そうな男の人が1人近づいてきた。距離的に今まで絶対聴こえていたはずなのに、どうして今頃…？


「は！？私はあんたの先輩なんかじゃないわ！あんた誰よ！？」


どんどん声が高くなっていく女性。


「もう言い訳は見苦しいですよ。妊娠なんて…旦那さんもいないのに。」


意地悪そうに笑ったスーツの人。


「もう！本当にアナタたち何なのよ！？…もういいわ、知らない！こんなマーク捨ててやる！！」


そう言ってキーホルダーを床に捨てると何度もピンヒールで踏み躙って違う車両に逃げるようにしていなくなった。

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