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TH「いくよ。」
やっぱり怪我人に満員電車はキツすぎる。なんとかテヒョン君に支えられ車内に入ったものの、足は踏まれるわ、痛めた背中には誰かがぶつかってくるわ、立っているだけで激痛だ。
テヒョン君が電車の壁側に誘導して、守ってくれていなければおそらく私は今頃、屍と化していただろう。
TH「…痛い?」
私の額に浮かぶ汗を見たのだろう、気の毒そうな顔で私を見つめてくるテヒョン君。ちなみに、体勢はほぼ壁ドンだ。
『いや…まだ大丈夫です。』
実際後乗り換えまでだったら我慢ができる気がする。
テヒョン君はキョロキョロと周りを見回し始めた。どうやら私のための席を探してくれているらしい。
一駅着くとまた、激しい人の乗り降りがあり、私は流されないことと、痛む体を庇うことに必死だ。
TH「あ、あそこ空いた。席取ってくるから一旦待ってて。」
そう言って颯爽と消えていったテヒョン君。周りの喧騒と人が多いことによる視界的障害で何をしているのかはいまいちわからなかったが、周りの人に事情を話して、席に松葉杖を一旦置いたらしい。
私の元へ戻ってきて、その優先席まで誘導してくれる。
『なんか、学生なのに優先席に座るって背徳感あるね。」
目の前で私を守るように立つテヒョン君に話しかける。背が高く、吊り革よりも上の鉄パイプにつかまっていた。
TH「実際その怪我じゃ優先されるべきでしょ。」
なんだかんだ言っても、優しいテヒョンさん。こんなことやろうと思ってすぐできることではないんだから、きっと元は本当にいい性格なんだろう。
((キキーッ!
その時急に耳をつんざくような高音が聞こえてきて、電車が緊急停止する。
『うわっ!』
私の体は隣の人にぶつかり、逆に隣の人の頭が私の肩へぶつかってくる。
急停止に満員な車内はプチパニックだ。ところどころで小さな悲鳴が聞こえてくる。
〈お客様にご連絡いたします。先ほど、非常停止ボタンが複数の箇所で同時に押されたため、現在確認中でございます。お急ぎのところ大変申し訳ありませんが少々お待ちくださいませ。〉
『あれ、テヒョン君?』
周りを見回しても目立った青髪彼の姿はない。おそらくさっきの急停止でどこかに流されてしまったのだろう。
とりあえずジン先生に遅刻のメールを送っておこう。と思ってスマホを取り出したが、優先席付近では心臓の弱い方もいるからスマホの使用をやめましょうとどこかで習ったことを思い出してやめた。
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蒼色(プロフ) - ななさん» ななさん、こんにちは。そうなんです笑。ちょうど半日ぐらい違って皆さんが読みやすい夜に投稿ができないことも申し訳ないです💦続編でも是非よろしくお願いします! (8月26日 0時) (レス) id: 3f04ad914f (このIDを非表示/違反報告)
なな(プロフ) - カナダにいらっしゃったんですね…‼︎なんとなく時差はあるのかなと感じていました笑。続編もお供させてください!笑笑笑 (8月25日 23時) (レス) @page50 id: 3dac742d50 (このIDを非表示/違反報告)
蒼色(プロフ) - asさん» asさん、こんにちは。そんな日課の一部にしてくださるなんて嬉しすぎて感激です。続き今アップしました。このお話を読んでくださりありがとうございました。 (8月25日 23時) (レス) id: 3f04ad914f (このIDを非表示/違反報告)
as(プロフ) - 前作からお話読ませていただいてます!最近は朝起きてからと夜寝る前にこのお話読むのが日課でした…。続編を今か今かと待ちわびてます (8月25日 21時) (レス) id: ca05a930ec (このIDを非表示/違反報告)
蒼色(プロフ) - ゆかさん» ゆかさん、こんにちは。そんなこと言っていただけるなんて嬉しいです。続編も是非是非よろしくお願いします! (8月25日 21時) (レス) id: 3f04ad914f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:蒼色 | 作成日時:2023年8月17日 0時