286.爪が甘い。2 ページ47
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函谷関に橋がかかったと騒ぎ始める秦軍。"百年間一度も"起きなかった未曾有の大惨事に、余裕をかましていたのが仇となった。弓で打ち落とせ、梯子を登ってくる敵を優先的に攻めろと怒号が行き交う。
俺と同じく函谷関防衛戦に回された張唐軍の慌てる様を横目に、敵を侮って過信していたツキがこれなら、笑えるじゃねェか。
「お頭！笑ってる場合じゃないですよ！援軍を出さねば、」
再び聞こえてきた地鳴り。バカデケェ巨体が砂塵を巻き上げ、また迫ってくる。
一台だけじゃなく、もう一台隠し持ってるとは…。
「やっ、やべェ！今度はうちらの所に来やがるぞ」
「お頭っ！！」
あんなモン見せられて、動揺するなってのが無理な話しだよな。
だが、どんなモノでも弱点はあるってもんだ。
「仕方ねェな。遊んでやるか」
張唐軍と同じく俺の持ち場にもかけられた橋。その橋を伝い魏兵が列をなして上がってくる。下ばかり覗いてどうしようどうしようと喚くオギコに。
「乗り出してると、落ちても知らねェぞオギコ」
「だってお頭っ！！あんなにも敵が続々と、キリがないよ！」
「オギコ、ピーピー喚いてないで、ヒマならちょっと手伝えよ」
荷台に乗せた幾つもの樽。予め用意させていたモノを、井闌車目掛けて投げ落としていく。梯子を登ってくる兵の体に当たり、樽中から出てきた液体が地上へと降り注いだ。体に纏わりつく黒い液体、独特の臭い、それが「油」だとわかった所で手遅れ。
「ちょーとばかり魏は、デケェもん作り過ぎたんじゃねェのか？」
高台から井闌車目掛けて火の付いた矢を放つ。的がデケェ分、効果は抜群。密集した兵達に逃げ場はなく、悲鳴は大きな渦を巻いて俺達の耳にもはっきりと聞こえてきた。
「テメェは、はしゃぎすぎなんだよ」
この光景を見ているであろう魏総大将の心中は穏やかではないだろう。絶対の自信があった兵器を壊され、一瞬にして多くの兵を失った。
自尊心の強ェ奴ほど、策を覆された痛手はデケェもんだ。
「お頭、悲鳴がスゴくてオギコどうすればいい！？」
「聞こえねェように耳でも塞いでろ」
こんな悲惨な光景をアイツが見たらどう思うだろうか。
まぁ、いずれ俺の元に来るなら慣れてもらうしかねェがな…。
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S - 初コメ失礼します！キングダムにハマって昨日この小説を一から読んだんですがほんとに号泣で最高です！これからもがんばってください (3月31日 13時) (
レス) @page50 id: 458c8fefa1 (このIDを非表示/違反報告)
bluemoon(プロフ) - 綿菓子さん» コメントありがとうございます。確かに、自分でも早いと思ってます笑。引き続き読んでいただけたら、嬉しいです。ありがとうございますね。 (2020年6月12日 19時) (レス) id: 4f57fd01cd (このIDを非表示/違反報告)
綿菓子 - 最近は更新スピードがとても速いので嬉しいです！唯一無二の花嫁。７も必ず読みます♪無理せず更新頑張ってください(^^) (2020年6月11日 19時) (レス) id: 80159fc2f2 (このIDを非表示/違反報告)
bluemoon(プロフ) - 海さん» ありがとうございます。私も、読者様がこの作品を読んでくれることと、コメントをもらえることが原動力になってます。更新頑張ります！ (2020年6月8日 5時) (レス) id: 4f57fd01cd (このIDを非表示/違反報告)
bluemoon(プロフ) - ゆうあさん» はい、宜しくお願いします！こちらこそ読んでいただき、ありがとうございます。頑張りますね！ (2020年6月8日 5時) (レス) id: 4f57fd01cd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：bluemoon
| 作成日時：2019年12月30日 16時
