276.熱烈歓迎。 ページ37
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「傅抵さん、ありがとうございます」
「気にすんな。李牧様の命でもあるし。つーか、お前顔広いな。楚軍にも知り合いいるとか――」
傅抵さんの顔目掛けて飛んできた矢。それを寸での所で避けた傅抵さんは傾いた体勢を立て直す事が出来ず、落馬した。
「大丈夫ですか!?」
「ってェ……いきなり何しやがる!」
「それはこっちの台詞だ。Aに馴れ馴れしくするな」
「アイツ麗の矢を避けやがった。何者だ?」
楚陣営まで後少しの所での強襲。茂みから放たれた矢は白麗さんのものだった。その傍らには項翼さんの姿も見える。
「随分な挨拶してくれんじゃねェか。こっちはな李牧様の大事な女がいるんだ。もし怪我でもさせて見ろ。俺の首が飛ぶんだよ!お前責任とれんのか!」
「俺の弓は的を外さない。確実にお前の首だけを狙った」
「それも問題大有りじゃねェか!!いいか、俺はテメェらがAに会いたいって言うから、わざわざ楚陣営まで送りに、」
「やっぱお前の匂い落ち着く…。」
馬に乗っていた私の腰に腕を回した項翼さんが、その勢いのまま自分の体へと私を抱き寄せた。
「項翼さん…っ…くすぐったい…です」
「ああ、悪ィ……。でも、止まんねェ」
身を捩る私の耳元に熱い吐息。首にチュウッと吸い付くリップ音。舌でも首筋を舐めて来るから、恥ずかしくて、こそばゆくて。
「…っ……そこ……イヤっ…!」
「お前のその声…やべェ……無性にシたく――」
「翼、一回死んでおくか?」
グッと後ろから腰に回された強い力。今度はなに、と焦る私の体は白麗さんの腕の中。顔だけ白麗さんの方へと向けば、整った容姿は直ぐそこにあって。何より互いの唇が触れ合いそうな距離。
「あ、あの…、」
「翼だけじゃなく…俺も構え。他の男と親しくするな。嫉妬するだろ…。」
答える間もなく唇端に柔らかな感触。私に口付けした白麗さんは「フッ、Aの顔真っ赤」と余裕な表情。
そんな事されれば顔も赤くなってしまう。
「はあ!?麗、テメェな!俺だってAにまだしてねェのに!!」
「こんなものは早い者勝ちだ。A、煩い翼はほっといて楚陣営案内してやる」
「あ、はい…。」
私の手を握って歩き出す白麗さんに、「俺を置いて行くんじゃねェ」と項翼さんが追いかけてきた。
完全に置いていかれてるのは、傅抵さんの方。
全くと言っていいほど、私達の会話についていけないのだから。
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S - 初コメ失礼します!キングダムにハマって昨日この小説を一から読んだんですがほんとに号泣で最高です!これからもがんばってください (3月31日 13時) (レス) @page50 id: 458c8fefa1 (このIDを非表示/違反報告)
bluemoon(プロフ) - 綿菓子さん» コメントありがとうございます。確かに、自分でも早いと思ってます笑。引き続き読んでいただけたら、嬉しいです。ありがとうございますね。 (2020年6月12日 19時) (レス) id: 4f57fd01cd (このIDを非表示/違反報告)
綿菓子 - 最近は更新スピードがとても速いので嬉しいです!唯一無二の花嫁。7も必ず読みます♪無理せず更新頑張ってください(^^) (2020年6月11日 19時) (レス) id: 80159fc2f2 (このIDを非表示/違反報告)
bluemoon(プロフ) - 海さん» ありがとうございます。私も、読者様がこの作品を読んでくれることと、コメントをもらえることが原動力になってます。更新頑張ります! (2020年6月8日 5時) (レス) id: 4f57fd01cd (このIDを非表示/違反報告)
bluemoon(プロフ) - ゆうあさん» はい、宜しくお願いします!こちらこそ読んでいただき、ありがとうございます。頑張りますね! (2020年6月8日 5時) (レス) id: 4f57fd01cd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:bluemoon | 作成日時:2019年12月30日 16時