270.その時がきたら。 ページ31
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「A……李牧様との話は終わったのか？」
「慶舎さん…。」
自分の天幕へと戻った私を待っていた慶舎さんは、乱れた私の髪や格好を見て一瞬目を逸らし、無言のまま近づいてきた。胸元に伸びてきた手に服を正され、汗で顔に張り付いた髪を指先で払ってくれる。
「あ、あの…、」
「着替えを用意して置いた」
「ありがとうございます……。」
「李牧様から、何か聞き出せたのか？」
「はい…。」
全てを語ってくれた訳ではないと思う。でも、情報を得る事は出来た。
これから秦国に李牧さんが何をしようとしているのか。
「逃げ出そうとしないのだな？」
「え…、」
「情報を持って秦国へと戻ろうともしない。国が大事ではないのか？」
「では、慶舎さんは私を逃がしてくれると言うんですか？」
「それは出来ない…。主君である李牧様の命に背くことは…。」
すまない、と呟く慶舎さんの声。
忠に厚い部下が主君に従う事は当たり前の事で、今までも戦場でその光景を目の当たりにした。危機に陥れば自らの体を盾にして主を守り、主を生かすために活路を見出だす。信頼で結ばれた主従関係。
慶舎さんも傅抵さんも…それにカイネさんも。
「秦国には、李牧さんにも負けない。いえ、どの国にも負けない頼もしい将が沢山います。何より秦国の王は逆境すら跳ね返す強い信念、誰も成し遂げれなかった夢があります。その夢を実現させるべく自らが茨の路を選び、その路を支える仲間もいます。だから、信じます。皆がいる限り、秦国は負けたりしない」
「戦は何が起きるか分からない。李牧様の戦術に間違いは起きない。秦国は我々に万に一つも勝てはしないだろう。その時お前は、どうする？」
「その時は……私がここに残った目的を成すだけです」
前に昌平君さんに言われたことがあった。私の力を使えば、敵の懐に入り込むことは容易いと。この力があれば、寝首をかくこともできると。でも、あの頃の私は自分の体を使う事に賛同出来ず、卑怯な手段で命を奪う事を拒否した。
今なら、秦国を救う為に、例え自分の意志に反しようとも……。
この手で李牧さんを――。
271.合従軍。 政side→←269.愛のある行為。 李牧side
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S - 初コメ失礼します！キングダムにハマって昨日この小説を一から読んだんですがほんとに号泣で最高です！これからもがんばってください (3月31日 13時) (
レス) @page50 id: 458c8fefa1 (このIDを非表示/違反報告)
bluemoon(プロフ) - 綿菓子さん» コメントありがとうございます。確かに、自分でも早いと思ってます笑。引き続き読んでいただけたら、嬉しいです。ありがとうございますね。 (2020年6月12日 19時) (レス) id: 4f57fd01cd (このIDを非表示/違反報告)
綿菓子 - 最近は更新スピードがとても速いので嬉しいです！唯一無二の花嫁。７も必ず読みます♪無理せず更新頑張ってください(^^) (2020年6月11日 19時) (レス) id: 80159fc2f2 (このIDを非表示/違反報告)
bluemoon(プロフ) - 海さん» ありがとうございます。私も、読者様がこの作品を読んでくれることと、コメントをもらえることが原動力になってます。更新頑張ります！ (2020年6月8日 5時) (レス) id: 4f57fd01cd (このIDを非表示/違反報告)
bluemoon(プロフ) - ゆうあさん» はい、宜しくお願いします！こちらこそ読んでいただき、ありがとうございます。頑張りますね！ (2020年6月8日 5時) (レス) id: 4f57fd01cd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：bluemoon
| 作成日時：2019年12月30日 16時
