259.譲る気など毛頭もない。 白麗side ページ20
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「マジでヤベェ…この寝顔反則だろ」
「翼、黙れ。お前はAから背を向けて寝ろ」
「何でだよ!自分だけAの寝顔見ようとしてんじゃねェ。つーか、最近麗コイツのこと独り占めし過ぎ」
「俺はただAに弓の扱いを教えてるだけだ」
「そうかもしんねェけど……って納得してる場合じゃなくて、」
翼のバカでかい声にAが起きてしまわないか不安だったが、どうやら鍛練で疲れているらしく、起きる様子はない。
可愛い寝顔は何時までも見ていられる。
ただ、一点を除いて。
「ちょ、麗何してんだよ…!?」
「気に入らないからこの手を剥がしてるだけだが」
「止めろ!俺の至福の時間を邪魔するな!」
何が至福だ。それを見せつけられている俺は不快しかない。
よりによって何で翼の手なんか握って寝てる。しかも安心したような寝顔に、コイツが一番危険な男だと今すぐにでも叩き起こしたい気分だ。
温もりを探してさ迷うAの手に、いち早く気付き握ったのは翼だった。その時点で、先を越された事に自分自身に腹が立つ。
Aの一番じゃない事に…。
「前にも聞いたけど、麗もAのこと好きだよな?今回ははぐらかすの無しで答えろよ」
わかりきった答えを聞こうとする翼の顔は真剣で、俺の口から本音を聞きたいのは、好敵手だと改めて認識するため。その方が何かと都合がいいし、好きだとAに気持ちをぶつけることもできる。翼とは長い付き合いで、翼の性格は理解しているつもりだ。だからこそ、正々堂々と俺に挑んでくる。
「好きだ。誰にも渡したくない。もちろん翼にも」
「ようやく、認めたな。けど、俺も譲る気はねェ」
「だろうな。けど、お前よりは俺の方がAからの信頼は厚い。出会いそうそうに襲いそうになった出来事を、Aは忘れないだろう」
「それ、いつまで引っ張るつもりだ!反省してるって、何度もAには謝っただろ。こう見えて俺、惚れた女には一途だから」
知ってるっての。
好きなモノには真っ直ぐで、俺よりも気持ちは純粋で、だからこそ好敵手として脅威にもなりえる。
まぁ、だからと言って負けてやるつもりも、譲る気もない。
未だに翼の手を握っているAの手を強引に引き剥がすと、代わりといわんばかりに俺の手を握らせた。
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S - 初コメ失礼します!キングダムにハマって昨日この小説を一から読んだんですがほんとに号泣で最高です!これからもがんばってください (3月31日 13時) (レス) @page50 id: 458c8fefa1 (このIDを非表示/違反報告)
bluemoon(プロフ) - 綿菓子さん» コメントありがとうございます。確かに、自分でも早いと思ってます笑。引き続き読んでいただけたら、嬉しいです。ありがとうございますね。 (2020年6月12日 19時) (レス) id: 4f57fd01cd (このIDを非表示/違反報告)
綿菓子 - 最近は更新スピードがとても速いので嬉しいです!唯一無二の花嫁。7も必ず読みます♪無理せず更新頑張ってください(^^) (2020年6月11日 19時) (レス) id: 80159fc2f2 (このIDを非表示/違反報告)
bluemoon(プロフ) - 海さん» ありがとうございます。私も、読者様がこの作品を読んでくれることと、コメントをもらえることが原動力になってます。更新頑張ります! (2020年6月8日 5時) (レス) id: 4f57fd01cd (このIDを非表示/違反報告)
bluemoon(プロフ) - ゆうあさん» はい、宜しくお願いします!こちらこそ読んでいただき、ありがとうございます。頑張りますね! (2020年6月8日 5時) (レス) id: 4f57fd01cd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:bluemoon | 作成日時:2019年12月30日 16時