唯一無二の貴方。2【キングダム】

境界線。2 ページ17

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冷たい寝台に抱き上げたAの体をそっとおろした。恥ずかしいのか顔を背け、ぎゅっと握りしめた拳。身につけている服に俺が手を掛けると、Aはビクッと体を強ばらせるから、動かしていた手を止めた。


「嫌なら止めるが――」

「ち、違うんです！私初めてで…そのどうすればいいのか…、」

「心配するな。俺もお前が初めてだ」

「え、」


俺の発言にようやく俺の方を見たAの目が大きく見開く。信じられないとでも言いたそうな表情。


「意外か？」

「だって那貴さんモテるのに…。それに大人だから経験があると」

「それはお前の勝手な解釈。昔から俺が好意を寄せていたのはお前だけ。抱きたいと思う性への対象もお前だけ」


Aが俺を兄のように慕ってくれていた事は知っていた。だからお前から好きだと思いを打ち明けられた時は、本当に嬉しかった。これでお前に触れられる事が出来ると。

だが、実際恋仲になったところで関係が変わることはなかった。付かず離れずのもどかしい関係。俺の隣で可愛いらしい笑顔を見せるお前は、俺の胸の中に抱えている欲望に気付きはしないのだろう。だったら純粋なままでいて欲しい。俺の気持ちに気づかないで欲しい。

それなのに、境界線を破ったのはA。


「私に魅力がないんじゃなかったんですね…。」

「そんな訳あるか。俺がどれだけ我慢していたと思ってる」

「だったら…今日は我慢しなくてもいいです…。」


真っ赤な顔、潤んだ瞳。誘うように開いた口。吸い寄せられるように重なる唇。一度唇を離し、コツンと軽く額と額を合わせた。綺麗なAの瞳に俺が映って、お前の一部に俺がなったような錯覚。

我慢しなくていい……その台詞がお前の口から聞けるとは。


「俺を挑発した責任はとって貰うからな」

「はい…。」

「こんな事なら何も我慢する必要なかった訳だが…、」

「私は嬉しいです。きっかけが欲しかったから…ずっと那貴さんに触れて欲しかった」

「余り俺を煽るな…。箍が外れてどうなってもしらねェぞ」


止めていた手を再び動かしAの服を脱がしにかかる。相変わらず恥ずかしいのは変わらないみたいだが、俺の服を脱がしにかかるAの大胆な行動に、もっと早く気づいてやればよかった。

お前も俺と同じで、肌を重ねたかったと。

言葉にすれば。1　王賁　(亜流乃様、フワchan様、夏蜜柑様リク)→←境界線。1　那貴　(あお様、くうらげ様リク)

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