意地悪は好きの裏返し。1 輪虎 (とりけらとぷす様リク) ページ14
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「Aに避けられてる?」
「そう。僕何かしたかな?」
「下らない、私に聞くな。大方お前が原因だと思うがな」
「えぇー、何で僕が原因なのさ。姜燕がAを僕に返してくれないからだろ。僕の彼女なのに、親しげに弓の扱いとか教えて…。つまんない」
僕が口を尖らせて文句を言えば、姜燕は「まるで子供だな…。」と僕を見てため息を吐いた。
自分が子供っぽい性格なのは知ってる。側にいるのに僕には全然構ってくれないのに、姜燕が呼べばAは嬉しそうに駆け寄って行って、「君は僕の彼女だよ」と何度言い聞かせても、全く理解してない。
だから僕は、つい彼女に意地悪をしてしまう。怖いことを言ってビビらせたり、君の好きなモノを目の前でわざと食べたり。
「そんな事をしてまでAの気を引きたいのか?」
「そんなことって言うけど、僕だってどうすればいいのかわからないんだ。どんな些細なことでも僕はAに気にかけてもらいたいし、僕のことを想って欲しい」
心の声が漏れていたのか、普段僕がAにしている意地悪を聞いた姜燕は呆れた表情をしていた。
「Aが私に熱心に教えを乞うのは、お前の為だとわかっているだろう?お前の手助けがしたくてお前を守る為に戦う術を身につけているんだ。理解できたら、彼女を困らせないことだな」
「それこそ迷惑だよ、僕は守って欲しくなんかない。Aの手助けがいるほど、僕は弱くもないし――」
ガシャン…と床に何かが落ち、振り向けばAが立っていた。僕の視線に気づいたAは慌てて手から落とした弓を拾うとその場から走って行った。
「A…!!」
「はぁ…全くお前と言う奴は…。少しはAの気持ちを考えて行動しろ。大人なら自分の言動に責任を持て。色恋はお前が思うほど単純ではない。そんなことばかりしていると、嫌われても知らないからな」
「Aが…僕を嫌う…?」
まるで鈍器で殴られたような衝撃だった。
"嫌い"と言う一言の重み。
僕は彼女が好きで、彼女も僕が好き。気持ちを疑うようなマネは考えたこともなければ、疑う必要のないものだと思ってた。
でも、そうじゃないと姜燕は言う。
恋愛は相手がいて出来ること。自分だけ思ってもいても気持ちは伝わらない。ちゃんと相手と向き合って、話を聞いて、相手を思いやることも必要なんだと。
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bluemoon(プロフ) - りんさん» はじめまして。返信遅くなり申し訳ありません。私なりの解釈で慶舎を書かせてもらいましたが、お話しを気にいってもらえたのなら嬉しいです。番外編にも登場させたいと思っています。主人公と幸せになってもらいたいので。こちらこそコメントありがとうございました。 (2020年9月4日 22時) (レス) id: 4f57fd01cd (このIDを非表示/違反報告)
りん - はじめまして。感謝をお伝えしたく書きこみします。キングダムにはまったばかりでしたが、bluemoonさんの小説でキングダムをさらに楽しむことができました!私は慶舎が好きなのですがbluemoonさんの書く慶舎がとても好きです。素敵な小説本当にありがとうございました! (2020年8月21日 13時) (レス) id: 1e1ceb0c12 (このIDを非表示/違反報告)
bluemoon(プロフ) - ちぃさん» コメントありがとうございます。こちらこそ、ちぃさんにはリクエストもいただいて、楽しくお話しを書く事ができました。取り敢えず完結と言うことで。また短編が書きたくなったら考えてみようかなと思います。まだ、出してないキャラも沢山いますから笑 (2020年8月13日 9時) (レス) id: 4f57fd01cd (このIDを非表示/違反報告)
ちぃ(プロフ) - 短編おつかれさまでした!どのキャラの話もドキドキして恋しちゃうような素敵な作品ばかりでした!bluemoonさんの作品、本当に大好きです!引き続き本編も楽しみにしています!が!暑い日が続いていますのでご無理なさらず、お体ご自愛くださいね(^^) (2020年8月13日 8時) (レス) id: fe5c27facf (このIDを非表示/違反報告)
bluemoon(プロフ) - 猫猫さん» コメントありがとうございます。ですが、この短編は完結となっておりますので、以後リクエストを受け付ける事をしないつもりです。答えられず申し訳ありませんが、ご了承ください。お話しを読んでいただきありがとうございました。 (2020年8月12日 23時) (レス) id: 4f57fd01cd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:bluemoon | 作成日時:2019年11月19日 11時