235.君の代わりはいない。 ページ45
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静けさは一瞬。固唾をのんで戦局を見守っていた両軍の均衡は、信の攻撃によって崩れた。敵陣本陣に単独で深く入りこんだ私達を取り囲む敵軍。数では勝ち目はない。傷ついた信に群がる兵を弓で攻撃し、「早く馬に乗って！」と私は叫ぶ。
「脱出経路を確保した！飛信隊もついてこい」
王賁さんの声に別動隊で動いていた玉鳳隊がこっちだと退路を示す。それに従う信の背中を見失なわないよう追いかけるが、肩に走る衝撃。痛みと肩口から流れ落ちる血で手綱を握る手が滑った。
「…っ！？」
走る馬から投げ出され地面に叩きつけられた私に迫る敵の刃。振り向いた王賁さんと信が私の名前を同時に叫ぶ。追いかけたい背中は土煙と私を取り囲む敵によって、見えなくなった。
弓を構える私を嘲笑うかのように四方八方から剣が振りおろされる。固く目を閉じる私の耳に聞こえてきたのは剣を受け止める音。
ここには私を庇う人などいないと、閉じていた目を開ければ見知った背中。
「勝手なことされると困るんだよね。これ以上僕を怒らせないでくれるかな…。例え僕の配下だとしても、彼女に危害を加えるようなら…容赦しないよ」
どんな表情で脅せば振り下ろそうとした剣を止められるんだろう。輪虎さんの言葉に青ざめた兵達が後退りした。
「お互い怪我は…ないって言えないね。衝撃の割には無事みたいで安心した。肩の傷も浅いようだし、これも君の持つ治癒の力なのかな。早く止血しないと、」
「あ、あの！」
「ん？どうかした？」
私の方へと振り向いた輪虎さんはいつも見たいにニコニコしていて、兵を脅していた時とは声色も違っていた。
それよりも私が心配なのは―――。
「私よりも輪虎さんの方が酷い怪我をしてます。あの手を見せて下さい！」
失った左手の指先は二本。柄を持つ手は鮮血で濡れていて、今すぐにでも止血が必要なのは輪虎さんなのに、それもせずに私を助けに来てくれた。
「君に介抱して欲しくてわざと怪我したって言ったら信じる？」
「こんな時に冗談は止めて下さい！」
「半分本気なんだけど…。じゃあ、僕が君を助ける為に必死だったのは信じてくれる？」
「輪虎さん…。」
「痛みなんか気にならないぐらい君を助けたかった。僕はね、君を失う方が怖い」
治療しようと伸ばした手を引かれ、輪虎さんに抱きしめられた。
236.好きだよ。 輪虎side→←234.越えろ。 信side
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caho(プロフ) - 王騎や騰との子作りや妊娠話、幸せ展開が見たいです。もっと早く主様のお話を見つけたかったです（ ; ; ）最高です。 (2022年10月13日 1時) (
レス) @page7 id: 7b5b48dd3d (このIDを非表示/違反報告)
bluemoon(プロフ) - 紗里さん» コメントありがとうございます。作品を書くにあたり私も王騎将軍との恋愛であったりお話しを書くのが、とても楽しかったです。花嫁7では、序盤から騰との絡みを予定してますので。楽しんでいただけたらと思ってます。移行準備頑張りますね！ (2020年6月19日 6時) (レス) id: 4f57fd01cd (このIDを非表示/違反報告)
紗里 - 実写からキングダムにハマり単行本を一気読みして王騎将軍がうたれたときには涙が止まらなくそしてここで王騎将軍と恋愛できとても嬉しく感動です。他の人との絡みも絶妙ですごく面白いです。できれば騰とのつながりがみたいです。でもバジオウもすてがたいです。 (2020年6月19日 0時) (レス) id: 4fff12daeb (このIDを非表示/違反報告)
bluemoon(プロフ) - 綿菓子さん» シリーズ6では、初めから二人と絡ませました。今後また出会う時の展開として。色んなキャラが多すぎて、どうお話しを持っていこうかと…嬉しい悩みではあります笑 (2019年12月30日 16時) (レス) id: 4f57fd01cd (このIDを非表示/違反報告)
綿菓子 - bluemoonさん» 特に合従軍編が色んなキャラが出てきますもんね！推しの項翼と白麗が出てきたらニヤニヤしっぱなしですw更新待ってます♪ (2019年12月30日 8時) (レス) id: 80159fc2f2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：bluemoon
| 作成日時：2019年10月6日 3時
