220.沸き上がる怒り。 ページ30
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「おい、女。テメェ何勝手なことしようとしてんだ」
体に剣が突き刺さり、頬を流れる子供の涙が寄り添う母親の顔へと一滴落ちた。私の差しのべた手を掴むことなく、ぐらりと傾いた小さな体。救おうとした命を、目の前で奪われた。
プツリ、と何かが自分の中で切れた音がした。
目の奥が痛い、体が小刻みに震える、沸き上がるのは止めようもない怒り。
「どうして…っ…こんな酷いことを！！」
「ああ？酷いこと？何甘ェこといってんだ。こいつらは魏の人間だ、敵をどう扱おうが俺らの勝手だろう。ガタガタぬかしやがると、テメェも女どものように――」
「それ以上侮辱するなら、弓を撃ちます！！」
「A殿、同士打ちは重罪です！どうか、堪えて！！」
私を止める渕さんの声。でも、私は目の前の大将に向けた弓を下ろさない。ぎりぎりと弓をしならせ、いつでも放つ準備はできている。
頭の先から爪先まで私をニヤニヤと見る男は、千人将の乱銅と名乗り、殺れるものなら殺ってみろと私を挑発した。
「止めるんだ、Aちゃん！気持ちはわかるけど、重罪になれば君は命を落とすかも知れない！それに信、千人将を斬ればお前は何もかも失うぞ！」
「信に手出しはさせない。罪は私一人で十分…！」
痛いぐらいにしなった弓を一気に放った。心臓を狙い刺さった矢。一撃で仕留めきれなかった私は二本目の矢へと手を伸ばす。
「このアマァァ！！」
右頬に走る痛み、衝撃で倒れた体に乱銅の足が迫ってきて、目を瞑った。
「ルアアッ！！」
「……信……？」
閉じた目を開いて見たのは信の背中。信の手にした剣には血が付いていて、地面に倒れていたのは乱銅だった。
「信…どうして、」
「うるせェ！俺はお前にもムカついてんだ！何でもかんでも自分で先走りやがって、少しは俺を、俺達の事を頼れよ！仲間だろうが！！千人将だろうが関係ねェ、間違ったやり方するクソ野郎はどんな理由があっても許さねェ！！」
「信…。ごめん、一人で勝手なことして」
「A約束しただろ？お前にはいつかデケェ景色見せてやるって。隣にお前がいないなんて、考えられねェ…。」
倒れた私の体を抱き起こした信は、唇から流れ落ちる私の血を優しく拭い「無茶するなよ」と困ったような表情で苦笑した。
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caho(プロフ) - 王騎や騰との子作りや妊娠話、幸せ展開が見たいです。もっと早く主様のお話を見つけたかったです（ ; ; ）最高です。 (2022年10月13日 1時) (
レス) @page7 id: 7b5b48dd3d (このIDを非表示/違反報告)
bluemoon(プロフ) - 紗里さん» コメントありがとうございます。作品を書くにあたり私も王騎将軍との恋愛であったりお話しを書くのが、とても楽しかったです。花嫁7では、序盤から騰との絡みを予定してますので。楽しんでいただけたらと思ってます。移行準備頑張りますね！ (2020年6月19日 6時) (レス) id: 4f57fd01cd (このIDを非表示/違反報告)
紗里 - 実写からキングダムにハマり単行本を一気読みして王騎将軍がうたれたときには涙が止まらなくそしてここで王騎将軍と恋愛できとても嬉しく感動です。他の人との絡みも絶妙ですごく面白いです。できれば騰とのつながりがみたいです。でもバジオウもすてがたいです。 (2020年6月19日 0時) (レス) id: 4fff12daeb (このIDを非表示/違反報告)
bluemoon(プロフ) - 綿菓子さん» シリーズ6では、初めから二人と絡ませました。今後また出会う時の展開として。色んなキャラが多すぎて、どうお話しを持っていこうかと…嬉しい悩みではあります笑 (2019年12月30日 16時) (レス) id: 4f57fd01cd (このIDを非表示/違反報告)
綿菓子 - bluemoonさん» 特に合従軍編が色んなキャラが出てきますもんね！推しの項翼と白麗が出てきたらニヤニヤしっぱなしですw更新待ってます♪ (2019年12月30日 8時) (レス) id: 80159fc2f2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：bluemoon
| 作成日時：2019年10月6日 3時
