194.永遠に。1 ページ3
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父上が皆にかける言葉を、まるで夢の中のできごとじゃないのかとどこか他人事のように聞いていた。集まった味方の兵達は咽び泣き、父上を慕っているのが伝わってくるのに…。
どうして泣いているのか。まるで父上の最期を予感しているような様子が、私には分からない。死地を脱してきたのに、これから皆で邸に帰り、傷を癒し兵を立て直してまた再戦すればいいだけのこと。それなのに父上も遺言みたいな言葉を残して。明日も明後日も、ずっと側にいる筈ならそんな言葉はいらない。
「少し娘と二人だけで…、」
信に矛を譲り渡した父上が、皆と距離を取って凰を歩かせた。皆は気を使って私と父上に背を向けてくれる。
「A、体をこちらに」
私を支えるように体を抱き上げ反転させた父上は、私の顔を見て「傷物になってしまいましたねェ」と頬に出来た傷にそっと手を添えた。
「父上も知ってるはずです…私には治癒の力があると」
「ええ。貴女がその力で何度も我が兵を癒していたところは見ています。その度に嬉しそうな顔をしている男共に嫉妬しましたが…。」
「父上の傷も私が癒して…、」
「その必要は有りません。自分の死期が近づいてきているのはわかっています。それに思ったよりも傷は深く、私を癒すには相当な労力を使うことでしょう。手負いのAに負担はかけたくありません」
「そんなことっ…！」
話している間も父上の体からはとめどなく血が溢れ、私の服を真っ赤に染めた。傷口に触れようとする私の手を「力は使わないで下さいと言ったはずです」と拒み、優しく自分の胸へと私を引き寄せた。
「私が居なくなった後には、」
「いや…っ…聞きたくない！」
「A聞いて下さい」
「聞きたくないっ！！」
「A……。」
「父上はずっと私の側にいる…そうでしょ……ずっと側にいる……っ……居なくならないっ…！！」
泣き叫んでも現実は何一つ変わらない。目の前の父上は蒼白な顔色で荒い呼吸を繰り返し、言葉を紡ぐのも苦しい様子。それでも私は、最期の言葉を聞いてしまったら父上は居なくなるような気がして、現世にいつまでも繋ぎ止める。
温もりが消えないように
鼓動が止まらないように
全部自分の為、息をしているのもやっとの父上に酷い仕打ちを私は……。
楽にしてあげたい
でも逝かせたくない。
感情が複雑に入り交じって、心が悲鳴を上げていた。
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caho(プロフ) - 王騎や騰との子作りや妊娠話、幸せ展開が見たいです。もっと早く主様のお話を見つけたかったです（ ; ; ）最高です。 (2022年10月13日 1時) (
レス) @page7 id: 7b5b48dd3d (このIDを非表示/違反報告)
bluemoon(プロフ) - 紗里さん» コメントありがとうございます。作品を書くにあたり私も王騎将軍との恋愛であったりお話しを書くのが、とても楽しかったです。花嫁7では、序盤から騰との絡みを予定してますので。楽しんでいただけたらと思ってます。移行準備頑張りますね！ (2020年6月19日 6時) (レス) id: 4f57fd01cd (このIDを非表示/違反報告)
紗里 - 実写からキングダムにハマり単行本を一気読みして王騎将軍がうたれたときには涙が止まらなくそしてここで王騎将軍と恋愛できとても嬉しく感動です。他の人との絡みも絶妙ですごく面白いです。できれば騰とのつながりがみたいです。でもバジオウもすてがたいです。 (2020年6月19日 0時) (レス) id: 4fff12daeb (このIDを非表示/違反報告)
bluemoon(プロフ) - 綿菓子さん» シリーズ6では、初めから二人と絡ませました。今後また出会う時の展開として。色んなキャラが多すぎて、どうお話しを持っていこうかと…嬉しい悩みではあります笑 (2019年12月30日 16時) (レス) id: 4f57fd01cd (このIDを非表示/違反報告)
綿菓子 - bluemoonさん» 特に合従軍編が色んなキャラが出てきますもんね！推しの項翼と白麗が出てきたらニヤニヤしっぱなしですw更新待ってます♪ (2019年12月30日 8時) (レス) id: 80159fc2f2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：bluemoon
| 作成日時：2019年10月6日 3時
