192.自己犠牲。 ページ1
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左の端を目指して走れと言う騰さんの言葉を信じて、父上の馬である凰を走らせる。何度か凰に乗った経験はあるものの、いつもは父上が手綱を握っていてくれるのだが…。今はどういう状況なのか凰自身も分かっているように、指示をしなくても走ってくれていた。
手負いの父上を囲うように両隣には親衛隊の馬が並走し、信や飛信隊の皆も父上を逃がさそうと必死で戦っていて、誰一人諦めてはいない。
それは私も同じ。
父上を守る為なら自分の身すら犠牲にしても構わない。逆の立場なら父上だって私を守ってくれた筈だから。
「…っ！！」
左頬を矢が掠め伝い落ちる血。身軽な私は凰から振り落とされないよう手綱を握っているのがやっと。背中に感じる父上の命の重み。敵の剣が迫ってきても戦うことの出来ない状況なら、身を挺して守るしかない。
「避けろ、Aっ！！」
隣を走る信の声。避けては、父上を守れない。父上目掛けて降り下ろされる剣を自分の体で受け止める。服もろとも切り裂かれた右腕に激痛が走り、痛みで気が変にそう。手綱を握る手は溢れた血で滑り力なくダラリと下に落ちた。
「このクソ野郎…！！」
私に怪我をさせた兵の首が信の手によって飛んだ。
血を流し、命をかけてでも守りたい。とっくに気力など尽きている筈なのに、思いだけが自分を突き動かす。朦朧とする意識の中でしっかりしろと自分に言い聞かせ、また父上に迫る敵の攻撃から自分の身を盾にして防ごうとする私の耳に聞こえてきた声。
「全く…そんな戦い方を教えたつもりはないんですがねェ」
「父…上…。」
「A、頭を下げていなさい」
言われた通りに頭を下げる私の真上を、空を切り裂く音。父上の振り回した矛に敵が吹っ飛んでいく。何が起きたのか理解するのに数秒。その瞬間に流れ落ちる涙。
「相変わらずAは泣き虫ですね」
「だっ…てっ…父上がっ」
「ンフフフ。私を呼ぶAの声が聞こえて戻ってきました。Aを置いて逝けない……。」
私の腰に回された腕。
確かに動いていて、温かくて、力強い。
信じようとしてもこの目で確認するまでは信じられなくて…。
「A、皆と一緒にこの死地を脱しますよ」
「はい…っ」
名前を呼んだ応えてくれる。
問いかけたら応えてくれる。
当たり前の事に涙する私を見て「泣き虫ですねェ」と父上はまた笑った。
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caho(プロフ) - 王騎や騰との子作りや妊娠話、幸せ展開が見たいです。もっと早く主様のお話を見つけたかったです（ ; ; ）最高です。 (2022年10月13日 1時) (
レス) @page7 id: 7b5b48dd3d (このIDを非表示/違反報告)
bluemoon(プロフ) - 紗里さん» コメントありがとうございます。作品を書くにあたり私も王騎将軍との恋愛であったりお話しを書くのが、とても楽しかったです。花嫁7では、序盤から騰との絡みを予定してますので。楽しんでいただけたらと思ってます。移行準備頑張りますね！ (2020年6月19日 6時) (レス) id: 4f57fd01cd (このIDを非表示/違反報告)
紗里 - 実写からキングダムにハマり単行本を一気読みして王騎将軍がうたれたときには涙が止まらなくそしてここで王騎将軍と恋愛できとても嬉しく感動です。他の人との絡みも絶妙ですごく面白いです。できれば騰とのつながりがみたいです。でもバジオウもすてがたいです。 (2020年6月19日 0時) (レス) id: 4fff12daeb (このIDを非表示/違反報告)
bluemoon(プロフ) - 綿菓子さん» シリーズ6では、初めから二人と絡ませました。今後また出会う時の展開として。色んなキャラが多すぎて、どうお話しを持っていこうかと…嬉しい悩みではあります笑 (2019年12月30日 16時) (レス) id: 4f57fd01cd (このIDを非表示/違反報告)
綿菓子 - bluemoonさん» 特に合従軍編が色んなキャラが出てきますもんね！推しの項翼と白麗が出てきたらニヤニヤしっぱなしですw更新待ってます♪ (2019年12月30日 8時) (レス) id: 80159fc2f2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：bluemoon
| 作成日時：2019年10月6日 3時
