137.その父親過保護。1 政side ページ39
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「王騎がここに?」
昌文君の報告とほぼ同時だった。扉を乱暴に開け、部屋へと入ってきた王騎が玉座に座っている俺の前へとズカズカと歩いて来たのは。
「王の御前だ。王騎、失礼のないようにしろ」
「失礼のないよう?昌文君それは私の台詞です」
「何を、」
「下がれ昌文君。王騎と二人だけで話しがしたい」
「ですが大王様、」
「用があればまた呼ぶ。それまでは下がっていろ」
俺の一言にまだ何か言いたげな昌文君だったが、一礼すると部屋を出て行った。
その間も王騎は俺から目を離すことはない。じっと俺を見つめる目には怒りを宿しているのが見て分かる。
「単刀直入に言います。娘を帰してもらいましょうか」
「帰す…?Aは帰っていないのか?」
「どう言うことです?王に会いに行くと、ここに来たはずですよねェ?」
「ああ…。だが、今はいない」
「今は?では、Aはどこに?」
「分からない。俺はお前の元に帰ったと思っていたが」
Aの意思を無視して俺が無理矢理抱いた事がショックだったのか、俺が目を覚ました時には隣にAの姿はなかった。
俺はてっきり父親である王騎の元に帰って行ったと思っていた。だが、王騎の元に帰っていないとするならAは今どこに……?
「妙ですねェ。Aが何も言わず出て行くとは…。それとも何も告げずに出て行かなくてはいけない何かが…あったとか?」
「答える義理はない」
「それもそうですねェ。では、質問の内容を変えましょうか。私の娘に何かしましたね?分かっていると思いますが、曖昧な返答では私は納得しません」
曖昧な、を強調する王騎。無論そんな事は俺にも分かっている。ここに入ってきた時から俺に敵意剥き出しで、王騎は冷静な態度とはいえなかった。
「お前がAを抱いたように俺も、」
スッと首もとに冷たい感触。
王騎の愛用の矛が俺の言葉を遮った。
「それは合意のもとですか?そうでないのなら私は…相手が例え王であっても、許す事は出来ないでしょう」
「ならば、お前はどうだ?」
「ンフ。私ですか?先ほどの王の言葉をかりるなら、答える義理はないですねェ」
挑発的な王騎の言葉、挑発的な態度。
俺より有利に立っているのが、Aの側に入られる王騎が、何もかもが俺を苛つかせた。
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bluemoon(プロフ) - うーちゃんさん» 今晩は。只今編集作業をしている最中で、終わり次第パスワードを外させて頂きます。ご迷惑をおかけ致しますがお待ち頂けますようお願い致します。メッセージありがとうございますね。 (2022年6月15日 20時) (レス) id: 4f57fd01cd (このIDを非表示/違反報告)
うーちゃん(プロフ) - こんにちは☺︎ 4から見たいのですがパスワードがかかっており見れません(>_<) 教えていただけませんか?すごく面白くて一気読みしてしまいました! (2022年6月15日 6時) (レス) id: ff65ffef2e (このIDを非表示/違反報告)
bluemoon(プロフ) - おはようございます。体調だいぶ良くなりました。お気遣いありがとうございます。書きたい衝動になっているので、自分のペースで更新していきたいと思います。コメントありがとうございました(*^^*) (2019年8月17日 10時) (レス) id: 4f57fd01cd (このIDを非表示/違反報告)
Mimina(プロフ) - こんばんわ!体調大丈夫ですか?心配です。元気なったらまた素敵なお話楽しみにしています!ゆっくり休んでくださいね! (2019年8月17日 0時) (レス) id: 4c3be01646 (このIDを非表示/違反報告)
bluemoon(プロフ) - Miminaさん» 返信遅くなってごめんなさい。ちょっと体調を崩してしまって、申し訳ありません。何回も読んでいただいてありがとうございます!更新頑張らないとですね。ありがとうございました。 (2019年7月31日 5時) (レス) id: 4f57fd01cd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:bluemoon | 作成日時:2019年6月9日 7時