122.唇を重ねたら。 信side ページ24
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寝付けない。いつもなら鍛練し終わった後は、朝まで起きないってのに。
「……ん…。」
隣横で眠るAが寝返りを打って、俺の方へと顔を向けた。
前にも思った事だが、ほんの数ヶ月離れている間にAは綺麗になった。元々整った顔立ちをしていたのは知っている。里典の家にいた頃にも、俺と漂。二人してよくAの可愛い寝顔を見ていた。
懐かしいと思う反面。
どんどん綺麗になっていくお前を、独り占めしたいと思う気持ちも膨らむ。
「A…。」
一度は躊躇ったお前に触れる手を、俺はもう一度伸ばした。柔らかな頬を撫でると、その距離をぐっと近づける。触れるだけじゃ満足できそうにない。
テンが俺達に背を向け丸まって寝ているのを確認した俺は、自分の唇をAのモノと重ねた。
初めてのキス。
一瞬触れて、慌てて離す。ここでAが目を覚ましてくれたら、何事もなかったように俺は寝たふりしようと決めていたんだ。
けど、Aは目を覚まさなかった。
呼吸とともに規則正しく動く胸。寝込みを襲うなんて卑怯だとは思う。
でも、それ以上に触れたい。
ずっと触れたいと思ってた。
素直に自分の欲求をぶつけて、Aに嫌われたくないと躊躇って。
このタイミングを逃したら、次はいつ会える?
"私の娘に王と同じく好意を抱いているようですが、Aは渡しませんよ"
魏の戦で初めて会った王騎将軍に言われた言葉。
王騎将軍も、Aに惚れてる。馬上から俺を睨み付けてくる目は、明らかに敵意を含んでいた。
「A…俺、お前のこと好きだ」
塞ぐように唇を強く押し付け、服の隙間に手を差し込むと直に胸に触れた。
「……っ…ん…?」
うっすらと目を開けたAと俺の視線が絡まる。
「…信…っ」
声を出される前にキスで口を塞ぎ、無我夢中でAの体を抱き寄せた。
止まらない。
止めたくない。
抵抗するAの腕を押さえつけようとした瞬間、引き戸を乱暴に叩く音。
「王宮から使者で遣わされた者です!至急取り次ぎ願いたい!」
切羽詰まった男の声。
王宮で何か合ったんだと、その声が教えていた。
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bluemoon(プロフ) - うーちゃんさん» 今晩は。只今編集作業をしている最中で、終わり次第パスワードを外させて頂きます。ご迷惑をおかけ致しますがお待ち頂けますようお願い致します。メッセージありがとうございますね。 (2022年6月15日 20時) (レス) id: 4f57fd01cd (このIDを非表示/違反報告)
うーちゃん(プロフ) - こんにちは☺︎ 4から見たいのですがパスワードがかかっており見れません(>_<) 教えていただけませんか?すごく面白くて一気読みしてしまいました! (2022年6月15日 6時) (レス) id: ff65ffef2e (このIDを非表示/違反報告)
bluemoon(プロフ) - おはようございます。体調だいぶ良くなりました。お気遣いありがとうございます。書きたい衝動になっているので、自分のペースで更新していきたいと思います。コメントありがとうございました(*^^*) (2019年8月17日 10時) (レス) id: 4f57fd01cd (このIDを非表示/違反報告)
Mimina(プロフ) - こんばんわ!体調大丈夫ですか?心配です。元気なったらまた素敵なお話楽しみにしています!ゆっくり休んでくださいね! (2019年8月17日 0時) (レス) id: 4c3be01646 (このIDを非表示/違反報告)
bluemoon(プロフ) - Miminaさん» 返信遅くなってごめんなさい。ちょっと体調を崩してしまって、申し訳ありません。何回も読んでいただいてありがとうございます!更新頑張らないとですね。ありがとうございました。 (2019年7月31日 5時) (レス) id: 4f57fd01cd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:bluemoon | 作成日時:2019年6月9日 7時