119.会いたい人達。 ページ21
.
「……腰が痛い」
「まるで年寄りみたいだな」
腰を擦りながら自分の部屋の寝台に倒れこむ私の姿を見て、騰さんが言った。
「勝手に部屋に入って来ないで下さい…。」
「どうしてか、いつもつい声をかけ忘れる」
「いつも"つい"忘れないで下さい…。」
体を起こすのも面倒で、顔だけ騰さんに向けて答えた。
ダルい…ものスゴく眠い。
とても鍛練どころじゃない。
「毎日のように殿に抱かれて気分はどうだ？」
「どうだと言われても…。」
抱かれるのは嫌いじゃない。むしろ、嬉しい。父上が私にだけに見せる恍惚の表情も、私だけに愛情を注いでくれることも。
「騰さん…父上は？」
「日課の演習に行ったばかりだが。「帰ってきたら寂しい思いをしたAをたっぷり可愛いがってあげましょう。ココココ」と嬉しそうに出て行ったな」
「もう、体が持たない…。それと騰さん。父上の声真似へた」
「……自分では似ていると思うが」
私が指摘しても騰さんは父上の声真似を止めず、寝台に腰を下ろすと「ンフ。腰を擦ってあげましょうか」と、私の返事を待たずに触れてきた。
「父上の体力…底が見えなくて恐ろしいんですけど…。」
「まさに天下の大将軍と言うとこだな」
「そんな例えいいですから…。騰さん、私少しだけ体休めたいです…。」
「ならば、久しぶりに会いに行ってはどうだ？」
「会いに…ですか？」
「殿には黙っていろと言われたが、王から何度もA宛に書簡が送られてきていた」
「政から？」
「正式に王の即位に就いた事で、色々と忙しくしているみたいだが。心休める時間も欲しいのだろう。宮殿内では世継ぎを望む声もあると聞く」
政とは玉座の間で父上と言い争って以来、会っていない。私を呼び止めようとする政を父上が阻んで、そのまま宮殿を出てきてしまったから。
会えるなら私も会いたい。
「宮殿への道中、Aの知り合いだと言う信と言う少年に会うのもいいだろう」
「私も会いたいですけど…父上が許してくれるか」
最近の私に対する愛情のかけ方を見れば納得してくれそうにないと思う。前以上に束縛も強くなったし。
政や信に会いたいだなんて口にしたら…。
「可愛くおねだりしてみたらどうだ？」
「冗談ですよね？そんなことで父上が、」
「男と言うものは、Aが考えているよりも単純だ。殿にそれが通用するかは、知らないが」
知らないんですか！と思わず騰さんにツッコミそうになった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 794人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「トリップ」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
bluemoon(プロフ) - うーちゃんさん» 今晩は。只今編集作業をしている最中で、終わり次第パスワードを外させて頂きます。ご迷惑をおかけ致しますがお待ち頂けますようお願い致します。メッセージありがとうございますね。 (2022年6月15日 20時) (
レス) id: 4f57fd01cd (このIDを非表示/違反報告)
うーちゃん(プロフ) - こんにちは☺︎ 4から見たいのですがパスワードがかかっており見れません(>_<) 教えていただけませんか？すごく面白くて一気読みしてしまいました！ (2022年6月15日 6時) (レス) id: ff65ffef2e (このIDを非表示/違反報告)
bluemoon(プロフ) - おはようございます。体調だいぶ良くなりました。お気遣いありがとうございます。書きたい衝動になっているので、自分のペースで更新していきたいと思います。コメントありがとうございました(*^^*) (2019年8月17日 10時) (レス) id: 4f57fd01cd (このIDを非表示/違反報告)
Mimina(プロフ) - こんばんわ！体調大丈夫ですか？心配です。元気なったらまた素敵なお話楽しみにしています！ゆっくり休んでくださいね！ (2019年8月17日 0時) (レス) id: 4c3be01646 (このIDを非表示/違反報告)
bluemoon(プロフ) - Miminaさん» 返信遅くなってごめんなさい。ちょっと体調を崩してしまって、申し訳ありません。何回も読んでいただいてありがとうございます！更新頑張らないとですね。ありがとうございました。 (2019年7月31日 5時) (レス) id: 4f57fd01cd (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：bluemoon
| 作成日時：2019年6月9日 7時
