109.戦車隊。 ページ11
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「兄キ!」
「よかった…尾平さん無事だったんですね…。」
「尾到!それに伍長も!危ないとこをこいつが助けてくれたんだ。ええと、」
「Aです」
「私が伍長の澤です。班員を助けていただいて、ありがとうございました」
頭を下げる澤さんに私も慌てて頭を下げた。
「それにしても大分殺られてしまいましたね…。ところで信君は、」
ゴゴゴゴ…と突然聞こえてきた地鳴り。遠くに砂煙が上がっている。何かが物凄いスピードでこっちに近づいてくるが、上空から降り注いでくる砂塵に視界が悪い。
「澤さん!平っ、到っ!」
「信っ!」
私が名前を呼ぶと、信は大きく目を見開いた。
「信、無事だったか」
「待って下さい。何か叫んでいますっ」
確かに大声で何か叫んでいるみたいだけど。
何を叫んでいるかまでは…。
「逃げろバカヤロォォ!!」
砂煙の中から飛び出してきた信の背後から迫ってきたのは、荒れ狂った馬。その勢いは凄まじく人が簡単に弾き飛ばされて行く。馬をかわせたとしても、取り付けた車輪の刃の餌食になるか、荷台に乗った兵に上から攻撃されるか。
身を隠す場所のないこの平原では、どちらにしても逃げ場などない。
「ボケッとしてんじゃねェ!!」
突っ込んでくる馬を前に立ち止まったままの私達の体を信は乱暴に押し、迫ってきた車輪を剣で攻撃すると軌道を変えた。
「っ…」
「A大丈夫か!?」
「うん…。」
差し出された手に掴まり、上へと引き上げられた先は信の腕の中だった。
「無事でよかった…。」
「信?」
「お前ら何呑気に男同士で抱き合ってるんだ?知り合いってそう言う関係、」
「澤さん!何なんだありゃ一体!」
尾平さんの言葉を無視して信は澤さんに尋ねた。
「戦車隊っ。魏が中華最強と自負する装甲戦車隊です。こんな早く出してくるとはっ…。」
暴走している馬に正面から行けば粉々。斜めから攻めるにしても荷台の上からの方が有利。失敗すれば刃付きの車輪の餌食。
打つ手はないと皆が諦める中、私達を守るように信が立ち上がった。
「みんな俺の後ろに固まってろ!イチかバチか正面から当たってみる!!」
「無茶しないで信!」
遠くから再び聞こえてきた地鳴り。
次の攻撃まで後少しと迫っていた。
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bluemoon(プロフ) - うーちゃんさん» 今晩は。只今編集作業をしている最中で、終わり次第パスワードを外させて頂きます。ご迷惑をおかけ致しますがお待ち頂けますようお願い致します。メッセージありがとうございますね。 (2022年6月15日 20時) (レス) id: 4f57fd01cd (このIDを非表示/違反報告)
うーちゃん(プロフ) - こんにちは☺︎ 4から見たいのですがパスワードがかかっており見れません(>_<) 教えていただけませんか?すごく面白くて一気読みしてしまいました! (2022年6月15日 6時) (レス) id: ff65ffef2e (このIDを非表示/違反報告)
bluemoon(プロフ) - おはようございます。体調だいぶ良くなりました。お気遣いありがとうございます。書きたい衝動になっているので、自分のペースで更新していきたいと思います。コメントありがとうございました(*^^*) (2019年8月17日 10時) (レス) id: 4f57fd01cd (このIDを非表示/違反報告)
Mimina(プロフ) - こんばんわ!体調大丈夫ですか?心配です。元気なったらまた素敵なお話楽しみにしています!ゆっくり休んでくださいね! (2019年8月17日 0時) (レス) id: 4c3be01646 (このIDを非表示/違反報告)
bluemoon(プロフ) - Miminaさん» 返信遅くなってごめんなさい。ちょっと体調を崩してしまって、申し訳ありません。何回も読んでいただいてありがとうございます!更新頑張らないとですね。ありがとうございました。 (2019年7月31日 5時) (レス) id: 4f57fd01cd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:bluemoon | 作成日時:2019年6月9日 7時