384.不可解な人達 ページ48
.
何が違うも何も、王賁さんとの関係を問い詰められた所で上手い言い訳も出来ない。戦場に赴き、玉鳳隊に守られた状態の私の立場は、はたから見たら勘違いされても仕方ないことなのかもしれない。女の私を危険に晒してまでも戦場に連れてきた理由、自分から志願したと言っても信じてもらえないだろう。
「貴様自ら戦場に来ただと？」
「そうです！ですから私を捕虜にして何か企てた所で、」
「はは、君面白いね。この大戦が君一人の命で動くとか、そんなのは誰も期待してないよ。特に紫伯の力は別格。玉鳳隊の隊長は若いなりにやるらしいけど、潜ってきた死線は紫伯の足元にも及ばない。明日の勝敗の行方はもう決している」
「そんなのわからないじゃないですかっ！王賁さんは負けたりしません！」
「無知は怖い。それに、王賁って男を庇う彼女に嫉妬する鳳明の顔も、同じぐらい怖いね」
人を見下すような冷たい眼差しが気に食わない
鳳明さんの先生だろうが、全てお見通しなんて顔しないで
「話はそれぐらいにしろ。女は俺の天幕に連れて行く」
「勝手な事はするな！Aは、」
「何を心配しているか知らんが、この女に俺が手を出すと思っているのか？」
「鳳明心配いらないよ。紫伯にとっての女性は、今もたった一人だけだから」
「わかってはいますが…、」
「この戦が終わった後には、彼女を好きにすればいい」
人をなんだと思っているのか、睨みつける私の視線に気づいても霊凰さんは口元に笑みを浮かべていた。
「ついて来い」
歩き出す紫伯さんの後を渋々付いて行く。逃げる事は無意味、ならば大人しく機会を待つしかない。自分のせいで皆に迷惑をかけている以上、それ以上の迷惑はかけられない。きっと王賁さんは自分を責めているだろう。怪我をしている身で、私を助けに行こうとしてくれているかもしれない。
だから私は、無事に皆の所に戻る事を考えるだけ。
「A、何かあれば助けを呼べ。俺が真っ先に駆けつける」
「鳳明さん…。」
「何か…か。紫伯が他者に興味を持つなんて珍しい事もあったもんだ。屍人同然の男に人の心が宿るとは…。」
意味深な言葉を呟く霊凰さんは私と目が合うと、「何でもないよ」と急かすように私の背を天幕の外へと追いやった。
385.遠い空の下、君想う 政side→←383.約束を果たせ
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 464人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「キングダム」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ゆずぽんず(プロフ) - 続き、楽しみにしてます。 (2月25日 22時) (
レス) @page50 id: 25d2c56152 (このIDを非表示/違反報告)
ナタデココ(プロフ) - 本当に続き楽しみにしてます( *´꒳`* ) (11月30日 7時) (レス) id: bb115dbd7a (このIDを非表示/違反報告)
ぽぽ(プロフ) - こんにちは、コメント失礼致します。シリーズ全て読ませて頂いています！相変わらずお話が面白くて感激しました…！続編楽しみにしています！！ (2023年4月23日 23時) (レス) @page50 id: 3d6874678d (このIDを非表示/違反報告)
はな(プロフ) - ９、楽しみにしています (2022年12月6日 16時) (レス) @page50 id: 9084a50d79 (このIDを非表示/違反報告)
bluemoon(プロフ) - Ayuさん» 初めまして。コメントのお返事遅くなり申し訳ありません。私もキングダムに出会えて、この作品を作るまでになりました。更新頑張りますね！お時間ある時にでもまた遊びに来て頂ければ幸いです。コメントありがとうございますね。 (2022年10月5日 21時) (レス) id: 4f57fd01cd (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：bluemoon
| 作成日時：2021年1月10日 13時
