唯一無二の花嫁。7【キングダム】

294.重なる素肌。　王賁side ページ6

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綺麗な肌を隠す事もなく、着ている俺の服を脱がしにかかるA。首に腕を回し留め具を外そうと体を密着させる。だが、酒のせいか思考は鈍り指先一つも上手く動かせないようで、ガチャガチャと音を立てるだけで留め具は一向に外れる気配がない。

もどかしい。
だが、俺の首もとにかかるAの熱い吐息をもっと感じていたい。


「王賁って意地悪だよね。Aちゃんが困ってるのに助けてあげようともしない。ほら、おいで。人肌恋しいなら俺が温めてあげるから」


Aを抱き抱えた蒙恬は、ゆっくりとAの体を寝台へと押し倒していく。手早く自分の腰布を解き、着物を脱ぎ出した蒙恬は、一度Aの額に自分の額を合わせ「好きだよ」と恋人に囁くような甘い表情でAの目を見つめて告白をした。

Aの返事を待たず合わさる唇に互いの素肌。

俺は何を見せられているんだ。

好きな女が他の男の手で乱される姿か？

このまま事が終わるのをただ黙って見てろと言うのか？

冗談だろ。
そんなことあり得ない。

乱暴に身につけていた服を脱ぎ捨てた俺は、抱き合っている二人の寝台へと強引に体をねじ込んだ。ギシギシと三人を乗せた寝台が悲鳴を上げても、構うことなく蒙恬の下にいるAの腕を引っ張り引き寄せる。


『王…賁…さん…。』


熱を帯びたAの目が俺の心を、体を捉えて離さない。漏れでる甘い吐息が脳内を刺激して、なけなしの理性すら奪ってしまう。

抱き寄せた事は何度もあるのに、素肌で抱き合うのはこれが初めての感触。

いや、女を抱くことすら初めての経験。

直に感じる柔らかい肌に、敏感になった互いの胸先が当たり、それだけで一つになった気さえする。


「抱き締めてあげるだけで王賁は満足？女の子は、色んな所を触って口づけて、好きだよ愛してるって囁いてあげると、もっと気持ちよくさせてあげられるんだよ。堅物な王賁は、そんなことしたことないでしょ？」

「そう言うお前は、誰にでも簡単に愛を囁き体を重ねるようだな」

「今はAちゃんただ一人だから」

「俺は…愛する女はAだけと決めている」


俺の言葉を酔っているAが理解しているとは思えないが、少なくともこの瞬間だけは俺に身を預け妖艶に微笑んでくれる。

例え目が覚め記憶を失っていたとしても、俺はそれでも構わない。

この瞬間だけは、お前は俺のモノだから。

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