308.ありがとう。 ページ20
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「蒙恬様ァァ！なんというお姿に…！！」
「黙っていろ。治療に専念できんだろうが」
天幕内に運ばれた蒙恬さんを取り囲むように、処置が施されていた。忙しなく動き回る応急係の人達に紛れ、私も何か手伝えないかと蒙恬さんの傷口に手を翳すが、じィと呼ばれている蒙恬さんの配下が耳横で泣きながらの大絶叫。
集中しようにも出来そうにない。
それを見ていた王賁さんが黙っていろと一喝。
王賁さんに感謝しつつ、再び治癒をするべく手を翳した。
「……A…ちゃん…。」
「ん……蒙恬さん！」
蒙恬さんが目を覚ましたのは、二日目の朝だった。
「今みんなを呼んで、」
「いい…もう少し二人だけでいたい…。」
あの時とは違い、私の手を握り返してくれる。まだ、起き上がれるほどの体力は戻っていないみたいで、顔だけ私に向けて微笑んでくれた。
「Aちゃんも…俺の怪我の処置してくれたんだね…。お陰で戻って来れた」
「私は何も…、」
「何もなんかじゃないよ…君が側に居てくれたから…生きる力になったんだ。生きたいって…思った…。それに、父上にも檄飛ばされたし…。」
誰もが死地に立っていると思っていた。それほどまでに傷は深く、息を吹き返すのは困難だと思っていたから。でも、蒙武将軍だけは諦めていなかった。「この蒙武の倅だ。その程度で死にはせぬ」と、かける言葉はそれで十分だとまた戦場に戻って行った。
親を思う子の力。
子を思う親の力。
絆は深く、容易く切れるものではない。それを証明しているような出来事だった。
「Aちゃん…お願いがあるんだけど…。」
「お願いですか？」
「そう…いつも君が俺にしてくれるようなこと。今日は俺のお願いきいて…。」
「私にできる事なら」
「じゃあ…俺を抱きしめて欲しい…。Aちゃんからしてくれないかな…？」
体動かせないからと、蒙恬さんの言葉に私は寝台に寝ている蒙恬さんへと覆い被さった。首下に手を入れ、少しだけ浮いた背中を抱きしめる。
「やっぱりいいね…生きてるって…。君の温もりが温かくて……ごめん、泣きたくなる…。」
「蒙恬さん…。」
「…っ…ありがとう…俺を救ってくれて…俺の側にいてくれて…っ」
私の肩口を濡らす涙は止まる事はなくて、嗚咽をもらす蒙恬さんの背中を優しく叩く。
私の流す涙は、蒙恬さんの肩口を濡らした。
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bluemoon(プロフ) - イルカさん» コメントありがとうございます。推しが同じ読者様に会えて嬉しいです。花嫁本編では王騎将軍の救済ルートを避けてしまったので、中編集で幸せになっていただきたいと思います。王騎将軍とのお話久しぶりに書く気がします。まずは花嫁8ですね。頑張ります！ (2020年12月27日 8時) (
レス) id: 4f57fd01cd (このIDを非表示/違反報告)
イルカ - 私は王騎将軍オシなのですっごく楽しみです！！シリーズ8も楽しみにしてます。 (2020年12月26日 23時) (レス) id: 4dcbd5d17d (このIDを非表示/違反報告)
bluemoon(プロフ) - ノンさん» テストお疲れ様でした。アニメ楽しみですね！どんな声優さんが演じてくれるのか、情報を解禁されるのもワクワクしますね。私ももう少しでお仕事が長いお休みに入るので、更新頑張ります！作品に遊びに来ていただいてありがとうございます。 (2020年12月21日 21時) (レス) id: 4f57fd01cd (このIDを非表示/違反報告)
ノン - 執筆活動お疲れ様です！！無事にテストが終わりゆっくりできる時間が出来たので小説を読みに来ました！これからの展開が楽しみです！春にはキングダムのアニメ3期も再開されるので今からキングダム熱を上げています笑笑 (2020年12月21日 17時) (レス) id: a804f7d386 (このIDを非表示/違反報告)
bluemoon(プロフ) - Tomoyoさん» お久しぶりです。三連休ですか、いいですね。明日から私はまた仕事です…。時間を見つけてこれから更新頑張りたいと思います！コメントありがとうございます。 (2020年11月22日 21時) (レス) id: 4f57fd01cd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：bluemoon
| 作成日時：2020年6月20日 15時
