唯一無二の花嫁。7【キングダム】

304.十五日目。6　項翼side ページ16

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臨武君の後釜としてやってきた媧燐将軍。女でありながら大軍を束ねる将。正直、得体が知れねェてのが初対面にして抱いた感情。何より、何の恩義もなくいきなり命令され、臨武君を憐れむ気持ちもない。それどころか、失態をやらかしたと臨武君の配下を足蹴りにして殺した。

ただ、何を考えているのかわからない奇妙さはある。

身長はバカ高く、楚大将の大男汗明将軍にも引けをとらない。だからと言って女の扱いをしないとキレやがるし、武功を挙げたなら俺を寝所に呼んでやるとか…。

こっちから願い下げだ。

そもそも俺が抱きたい女は、Aしかいねェ。俺の腕に収まる華奢な体。それでいて、出るとこは出てて柔らかいし、スッゲェいい匂いがして。Aに名前を呼ばれ見つめられるだけで、体の中心が熱くなってくる。


「おいおい、私を邪な目で見んじゃねェよ」

「は？俺は別に、」

「ああ、言うな。罪なのは男を誘惑する私の体がいけないんだろ？今すぐにでも抱きたいって面して、ガキは血の気が多くて困るねェ」

「俺はアンタの事想像してんじゃねェっての！」

「あァ？私じゃない？」


ヤベェと思ったが、嘘を吐く事も出来なくて。豊満な胸をムニュムニュと自分で揉んでいた媧燐将軍の手が止まる。めちゃくちゃ目力が強くて、しかも威圧的。

多分、気分次第では俺を殺す事も厭わない。
そんな狂気さが、媧燐将軍にはある。


「ガキだがお前は悪くない面してやがる。その女の事はたっぷり時間をかけて、寝台の中で吐かせてやるよ。お前に兵五千をくれてやる。騰の首を挙げてみな」

「俺に…五千…。」


千人将の俺が、五千の兵の大将。いつかはそうなるつもりだが、こうもあっさり兵をくれるとは。俺の力量を計っているのか、ただの気まぐれか。

どう考えても、多分後者だろう。


「やってやる…！俺はもっと高みを目指す！」

「イキがるのは大いに結構。口だけの男はモテねェよ」


行けと、手で追い払う仕草をする媧燐将軍。

上官と言えど気にいらねェ態度をされ、腹は立つ。だが、こんな好機そうそう転がってるもんじゃない。臨武君の仇である騰を討ち取ることができれば、将軍になる道は格段に飛躍する。

そして…Aを俺の元へと呼び戻す事もできる。

何がなんでもここで、絶対に武功を挙げてやる。

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