11.求婚。 ページ11
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宮中に召使いとして連れて来られて数日。右も左もわからない私は、失敗の連続だった。食事一つ運ぶのも広い宮内で毎日のように迷子になり、馴染みのない単語で荷物を持って来るよう指示されても、その荷が何を指しているのか分からず指導係の女性から嫌みを言われることもあった。
「さすがにへこむな…。」
このままじゃあ役立たずとみなされ、昌文君さんに言われたように王の妾になるしか…。
それだけは嫌だ。王がどんな人かもわからないのに、自分の体を捧げるのは。妾というぐらいだからこの時代普通に考えても王族の風習は一夫多妻。王の子供を産む為だけに連れて来られた女性も大勢いるはず。
その中での争いに私なんかが勝てるはずもない。
「信に会いたい…漂に会いたい…。」
「A」
一人感傷に浸っていた私は、聞こえてきた声に俯いていた顔を上げた。
「漂…？」
「ああ」
「本当に漂…？本物の？」
「本物って、ああそうだよ。訳あって王族の格好してるけど…ってうわっ！？」
漂の言葉を遮って、私は勢いよく抱きついた。
「っ…A…。」
「会いたかった…！心細くて、でも励ましてくれる信も慰めてくれる漂も側にいない。このままずっと一人だったらどうしようと寂しくて…。」
「心配するなって言っただろ？この任が無事に終わったら、大王様に俺の気持ちを俺の思いを話して、お前のこと迎えに行ってやるから」
「うん…。でも、その大王様って人がそれを許してくれなかったら？」
「そうだな。お前と二人でここを抜け出して、誰の目も届かない場所で暮らすのも悪くない。大将軍になる夢と同じぐらい、俺にはAが必要だから」
私の背に腕を回して強く抱きしめ返してくれる漂。
「冗談だとわかってても…結婚の申し出みたいで照れるね」
「俺はいつでも本気だけど。お前に言う言葉は嘘偽りのない俺の本音」
「あ、そ、そうなんだ」
恥ずかしくて自分でも顔が赤くなるのがわかる。
「俺、お前に惚れてる。返事はまた会った時に聞かしてほしい」
チュッと額に柔らかな感触。
キスされたと気づくまで数秒。
何事もなく抱きしめていた私の体を離すと、漂は微笑みその場を去って行った。
その行動に上がる私の体温。
忘れていた甘い香りが、再び私の体から溢れ出した。
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ノア - 初めまして、この作品の王騎様と夢主の絡みが好きで毎月読み返しておりました。読み手に戻られることを考えていらっしゃるとお伺いしましたが是非とも見れる形に残しては頂けないでしょうか。毎回癒されながら拝見させていただいておりました。 (2022年8月3日 21時) (
レス) id: c471de6204 (このIDを非表示/違反報告)
( ´ω` )/(プロフ) - おもしろかったです。続きは見れないんですか？ (2022年7月31日 9時) (レス) id: 16f8a40083 (このIDを非表示/違反報告)
i05x09(プロフ) - 突然すみません。とても面白くて読み進めていたのですが、続きはもう読めないのでしょうか…？ (2022年7月30日 19時) (レス) id: a85be77842 (このIDを非表示/違反報告)
bluemoon(プロフ) - 凌さん» 160�兪宛紊塙佑┐討�話し書いています。ですが、読者様のお好きな設定で読んでいただければ。コメントありがとうございます。 (2020年7月4日 10時) (レス) id: 4f57fd01cd (このIDを非表示/違反報告)
凌 - 主人公の身長はどのくらいですか？ (2020年7月4日 7時) (レス) id: 0f75895f1e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：bluemoon
| 作成日時：2019年4月28日 0時
