私の彼氏はヒモなんで。2【TH】 (ページ21)

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「ヌナ…もう寝ちゃった…？」

『ううん…まだだよ…』

「一緒に寝てもいい？」

『一緒に？』

「今日はヌナが俺に甘える約束だよ……ごめん、ほんとは俺がヌナと一緒に寝たいだけなんだ…」

甘えさせてあげるとは言ったものの、甘えたいのはテヒョン君の方。
素直に口にするテヒョン君に、いいよと布団を捲って微笑む。

「ヌナ、二人だとお布団の中ぽかぽかして温かいね」

『うん…』

テヒョン君が私の胸に顔を埋めてくるのには慣れた。
慣れって怖いもので、それが当たり前の光景なんじゃないかって錯覚までさせる。
それがないと妙に落ち着かないというか。

『テヒョン君に聞いて欲しい事があるんだけど…』

「ヌナ…？」

『昔付き合ってた人のこと。テヒョン君は聞きたくないかもしれない。でも、曖昧なままじゃ前に進めない。テヒョン君とこれから一緒にいるためにも、避けてばかりじゃダメなんだよね…』

隠し通す事がいい事もあれば、余計に相手を傷つける事もある。
それは自分自身にも言えることで、わざわざ傷を開くような真似はしたくはない。

それでも打ち明けようと思ったのは、テヒョン君が大切な人だから。
テヒョン君が支えてくれると言ったから。

テヒョン君の言葉を信じて、踏み出してみようと思った。

「ヌナが話してくれるなら、俺嬉しいよ。でもヌナが辛いって言うなら、俺は聞かない。ヌナを悲しませたくないんだ…辛い過去を思い出して、あの人の為に泣くヌナを見たくない…」

『テヒョン君…』

「俺ってほんと子供だね…、俺の知らないヌナをあの人が知ってて、でも俺はヌナのこと何も知らなくて。あの人がヌナのこと話すだけで嫉妬なんかして、わかってるんだ…そんなこと思ってもどうにもならないってこと。俺がヌナともっと早く出会ってたら、ヌナはこんなにも苦しんだりしなかった…あの人がヌナにした事も、ヌナの痛み俺が代わってあげられたらいいのに……」

泣きたくないのに、テヒョン君がどこまでも優しいから。
純粋で、痛みに寄り添うだけじゃなく、その傷さえも代わってくれるという。

「ごめん、ヌナを泣かせるつもりじゃなかったのに…」

『違う…、これは嬉しいから…っ…』

「嬉しい…？」

『テヒョン君が優しくて、だから…っ…嬉し涙だよ…』

テヒョン君が側にいてくれて…嬉しかった。
テヒョン君の言葉が嬉しかった。